30歳で片脚スクワットができない人は、80歳になったら「自立不能」

片脚スクワット、できますか?

『筋肉学入門 ヒトはなぜトレーニングが必要なのか?』(石井直方、講談社)という本に、ちょっとショッキングなことが書いてありました。30歳前後で片脚スクワットができない人は、80歳になったら「自立不能」を覚悟しなければならないそうです。

ちなみに片脚スクワットというのは、こんな運動。できますか?

同書によると、ヒトの太腿の表側の筋肉(大腿四頭筋)というのは年をとるにつれて著しく減ってしまうのだそうです。そのため、膝を伸ばすときのパワーも「ピーク時の年齢に比べ70歳で約半分、80歳で約3分の1に」(p. 239)落ちてしまうとのこと。よって、以下のような結論が導き出せるわけ(p. 240)。


30歳のときに2本の脚で生活していたものが、70歳では1本、80歳では0.7本の脚で生活しなければならなくなることになります。現在30歳前後で、片脚スクワットをするのがつらい方は、80歳になったときに「自立不能」になることを覚悟しなければならないでしょう。

筋力が足りない人はどうすれば?

今現在片脚スクワットができないからと言って「もうダメだ」と悲観する必要はありません。筋トレをすれば、何歳からでも筋力は増やせるからです。以下、『石井直方の筋肉まるわかり大事典』(石井直方、ベースボール・マガジン社)より引用(p. 366)。


ポテンシャルとしては、30歳を過ぎても筋肉は太くなります。私たちの研究グループでは、トレーニングによって104歳の人の筋肉が太くなったという例を確認しています。筋肉を強化するという純粋な目的でいえば、ほぼ年齢は関係ないと言えると思います。
104歳でもまだいける。さあレッツ筋トレ。

水泳やジョギングをしていれば、筋トレは不要か?

なお、ここで「自分は水泳やジョギングをしているから大丈夫、筋トレなんかいらないわー」と思うのは早計です。以下、谷本道哉著『筋トレまるわかり大事典』(ベースボール・マガジン社)より引用(p. 373)。太字強調は引用者によります。


70歳前後の高齢男性の筋肉を調べた研究報告がありますので見てみましょう(Kiltgaardら, 1990)。
この研究では、筋トレを行っている人、水泳を行っている人、ランニングを行っている人の筋機能を比較しています。筋トレ群では、筋力、筋横断面積(筋量)、単位断面積当たりの筋力(主に神経系の能力によるとされる)、筋短縮速度のいずれにおいても他の群よりも値が高く、20歳代の平均と差がなかったと報告しています。
対して水泳群、ランニング群での値は同年代の運動を行っていない人とほとんど差はありませんでした。
つまり泳いだり走ったりしているだけでは、筋量や筋力の低下は食い止められないらしいんです。よって、やっぱり筋トレは必要。さあジムへGO。いや、将来自立不能になっても確実に介護してもらえるあてがある人は、行かなくてもいいのかもしれませんが。