あれはマンスプレイニングだったのだなー、としみじみ納得
遅ればせながらこちらを読みまして。
- 相手が自分より下だと見ると、やたらとえらそうに長々と説明しまくることを、mansplainという。 - NAVER まとめ
- 上から目線の男の解説にうんざり! あなたの身近に必ずいる「マンスプレイニング系男子」とは?|ウートピ
いたいた、こういう男性。いちばん顕著に思い出せるのは、オートバイについて何の知識もないのに上から目線で「アドバイス」をしようとしてきた見知らぬ男性。
その時あたしはオフロードバイクに乗っていて、コンタクトレンズにゴミが入ったため、道沿いのコンビニの駐車場に入ろうとしていました。片目が見えないため距離感が狂い、縁石に前輪が乗り上げて、バイクは転倒。減速していたため人間はひょいと左足をついただけで済み、怪我はなし。
コンタクトを治してからエンジンをかけようと試みるも、当然かかりません。車体が一旦横倒しになったせいで、キャブレターがオーバーフローを起こしているからです。しばらく放置しておけば直るので、サイドスタンドを出してコンビニで買い物でもしようとしたとのとき。
あたしがバイクがコカすのを見ていたとおぼしき通りすがりの男性から、「大丈夫ですか?」と声をかけられました。その後の会話はこんな。
あたし「大丈夫ですよ、これオフロード車ですからこれぐらいじゃ壊れませんし、怪我もしませんでしたし」
男性「でもエンジンが」
あたし「キャブがオーバーフローしてるだけですから大丈夫です」
男性「そこにバイク屋があるから、持っていくといいですよ」
あたし「いえ、ですから(聞き取れなかったのかと思い、はっきりくっきり言ってみる)キャブレターの中でガソリンがオーバーフローしているだけですから、放っておけば直ります」
男性「でもバイク屋がそこに」
あたし「いやあ、こんなのでいちいちバイク屋に持ち込んだら笑われますよ」
男性「でも念のためバイク屋に」
こんな調子で、何をどう言っても「バイク屋に持って行け」の一点張り。たぶんキャブレターの意味わかってない。その程度の知識で、なぜこうも自分の「アドバイス」がそこまで価値あるものだと思い込めるのか謎。
で、こうなりました。
あたし(にこやかに)「キャブレターを分解したことはおありですか?」
男性「ないですけど」
あたし(たいへんにこやかに)「キャブレターの中にはフロートチェンバーというのがあって、そこにこれぐらいの(指で示す)大きさの白い浮きが浮いてて、それがガソリンの流れ込む量を調節してるんです。バイクが転倒すると、そのフロートの上下では制御できない状態でガソリンがどばーっとキャブに流れ込んでくるので、一時的にエンジンがかかりにくくなるんですよ。でもしばらく放っておけば無駄なガソリンは抜けますから、わざわざ重たいバイクを押してまでバイク屋に持って行く必要はありません。ほら、プラグがかぶっただけでいちいちバイク屋で直してもらおうとする人はいないでしょー、それと同じですよあはははは」
男性「」
あたし(さらににこやかに)「1度実際にキャブをばらしてみるとわかりやすいですよ。このバイクなんか単気筒だし、マニュアルさえあれば誰でもできます。マルチだとちょっと調整が大変ですけど」
男性「」
あたし(あくまでにこやかに)「わたし昔バイク屋に務めてたんで(これはほんと)、これぐらいなら持ち込み修理の必要はないとわかってます。だからお気遣いなく」
男性「」
ここまでくどくど話してやっと彼は「バイク屋に行け」コールをやめ、こちらを振り返りながら立ち去っていきました。
あれも結局マンスプレイニングだったのでしょうね。あたしのバイクがオフ車だということすらわからず(わかる人なら、低速で1回コカしたぐらいで壊れるような代物じゃないことも即理解できるはず)、キャブレターの構造も知らず、おそらく「プラグがかぶった」の意味もわからず、たぶんバイク乗りですらないのに、自分の方がよりよい問題解決策を知っていると決めてかかってくるとはねえ。
他にごく最近見聞きした例としては、「レズビアンやバイセクシュアル女性に向かって『同性愛差別とは』を上から目線で説明し出す異性愛者男性」なんてのもいましたね。いらんっちゅーのに。ああ、そう言えば以前わざわざレズビアンの運営するサイトの掲示板で「ぼくのかんがえた、どうせいあいしゃをさべつしていいりゆう」を開陳したがる百合オタの皆さまへ - みやきち日記というクッソ長いエントリを書いたのも、「現実の同性愛者の置かれた状況などひとつも知らず、知る気もないのに、百合ものをちょこっと読んだだけでわかったつもりになり、『俺様が指導してやる』と思ってしまう」方々にうんざりしたからで、今にして思えばああした方々もただのmansplainerですな。
なお、「マンスプレイニング」という言葉ができたきっかけになったというレベッカ・ソルニットのエッセイ「Men Explain Things to Me」(男は私にものを解説してくる)を読んでみたらめちゃめちゃ面白かったので、これが収録されている本をAmazonで発注してみました。日本だとkindle版が買えないため紙の本になってしまいましたが、届くのが今から楽しみです。
- 作者: Rebecca Solnit,Ana Teresa Fernandez
- 出版社/メーカー: Haymarket Books
- 発売日: 2014/05/20
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