「あらゆるところでトランスジェンダーへの差別と嘲笑が起こっている」、米調査

米国で行われた大規模調査で、同国では社会的・法的なほとんど全ての慣習の中でトランスジェンダーの人々への嘲笑や虐待や差別が起こっていると判明したそうです。

この調査を行ったのは全米ゲイ・レズビアン・タスク・フォース(National Gay and Lesbian Task Force)と全米トランスジェンダー平等センター(National Center for Transgender Equality)。調査結果は2011年2月4日に発表されました。
詳細は以下。

この調査で質問に答えた6540人のトランスのうち、41パーセントが自殺未遂の経験があり、約5分の1がホームレス経験があり、26パーセントがトランスであるために仕事を失ったことがあると答えたそうです。また、トランスジェンダーは全米平均に比べ、

  • 貧困率は約4倍
  • 失業率は約2倍
  • HIV陽性率は約4倍

だということも判明したとのこと。

報告書には以下のようにあるそうです。


トランスジェンダーや、ジェンダーに従わない人々を差別し、嘲笑し、虐待することがアメリカ合衆国の社会的・法的慣習の一部となっている。
合衆国のほとんどすべてのシステムや機関が、大小を問わず地方のものから国家のものまで関与しているのである。
“It is part of social and legal convention in the United States to discriminate against, ridicule, and abuse transgender and gender non-conforming people.
“Nearly every system and institution in the United States, both large and small, from local to national, is implicated.”

トランスジェンダーであることと貧困率・失業率・ホームレス率・HIV陽性率などとの関連については、以下がわかりやすいかもしれません。ご参考まで。

これらのページの内容を簡単にまとめると、少なくとも米国のトランスジェンダーは若くして家族に見捨てられたり学校をドロップアウトせざるを得なかったりすることが少なくなく、ホームレスに陥ってもシェルターは安全でないことが多く、住居を借りるにも差別があり、雇用差別のためセックスワーカーになったとしてもHIV予防の手が届きにくく、差別があるため医療も受けにくいということらしいです。

ちなみに自殺未遂率41パーセントというのは、アメリカ人の平均値の約26倍だそうです。「性同一性障害」やら「オネエキャラ」やらの概念だけがひとり歩きしている日本は、果たしてこの状況を笑えるのでしょうか?