12歳のトランスジェンダー少女、GLAADメディア賞授賞式で名スピーチ

2013年4月20日、ロサンゼルスでおこなわれたGLAADメディア賞授賞式で、12歳のトランスジェンダー少女がすばらしいスピーチをしました。
詳細は以下。

GLAADメディア賞というのは、米国のNGOであるGLAADが、LGBTコミュニティに対して大きな功績があった人やメディアに贈る賞。上の動画では、TVドラマ『Glee』で一躍有名になったアレックス・ニューウェルが「この子がいなかったらマッキンリー高校初のトランスジェンダーキャラを演じることはできなかった」と呼ぶ12歳のトランスジェンダー少女、ジャズさんが、堂々たるスピーチを見せています。内容はこんな。


「わたしは彼ら(訳注:LGBTQの子どもやティーンエイジャーのこと)に、暗がりから一歩踏み出して本当の自分になってもいいのだとわかってほしいと思っています。自分に正直になって、自分自身を表現してください。だって、結局わたしたちはただの子どもで、子どもはみんな幸せになる権利があるのですから」
"I just want them to know that it’s OK to step outside of your shadows and just be who you are. Just be true to yourself and express yourself because, after all, we are just kids, and all kids deserve to be happy."

ジャズさんは11歳にしてバーバラ・ウォルターズのインタビューを受けたトランス・アクティヴィストで、ドキュメンタリー番組"I Am Jazz"への出演でも有名です。MTV ACTのインタビューでもすごくいいことを言ってるんですよ彼女。


ACT「トランスジェンダーの親戚や友だちをサポートするにはどうすればいいか、アドバイスはありますか」
ジャズ「ええと、いつも言ってるんですが、わたしはドクター・スース(訳注:米国の絵本作家)のこのことばが好きなんです。『自分を偽らずに、自分の気持ちを話しなさい。なぜなら気にする人は大切な人じゃないし、大切な人は気にしないのだから』。だから、もしもトランスジェンダーの友だちや親戚がいるのなら、気にしない人であってください。そして、いつも変わらず支えてあげてください。
ACT: Do you have any advice on how someone can support a transgender relative or friend?
JAZZ: Well, I say this a lot, but I like the quote by Dr. Seuss: "Be who you are, and say what you feel, because those who mind don't matter and those who matter don't mind." So, if you have a transgender friend or relative, be that person who doesn't mind, and always be there for them.


ACT「トランスとしてカミングアウトすることについて、どうアドバイスしますか。トランスの若者が頼ることができるのは誰なのでしょう」
ジャズ「友だちでも、親戚でも、いとこでも、先生でも、ガイダンスカウンセラーでも、スポーツの監督でもいいから、信頼できて、必要なサポートを与えてくれて、あなたの旅路の助けになってくれる人を探してください。というのは、正直言って、両親が本来そうあるべきようなやりかたで受け入れたりサポートしたりしてくれないことも時々あるからです」
ACT: What is your advice on coming out as trans? Who can trans youth turn to for support?
JAZZ: Look for a friend, a relative, a cousin, a teacher, a guidance counselor, a coach or anyone that you trust and you know will give you the support you need and help you in your journey. Because let's face it, sometimes it's the parents who aren't accepting and supportive the way they should be.
聡明な子だよねえ。
アレックス・ニューウェルがこの動画で述べているところによると、今年テレビに登場したトランスジェンダーのキャラクタは2人しかいなかったのだそうです。メディアはもっとトランスやジェンダークィアの登場人物を描いてほしいと彼は言っていますが、あたしも同感ですね。ほんと、ジャズさんが言う通り子どもはみんな幸せになる権利があるんだから、メディアの中でもちゃんと肯定的なメッセージを送るべきだと思うの。視聴率が悪いと少年ジャンプもびっくりな勢いで打ち切られる北米テレビ業界で新しい挑戦をするのは難しいことなのかもしれないけど、それでももうちょっとなんとかならんもんかと思うんですよねー。