アンチゲイ団体NOM、直リンした1コマ漫画をレインボー・フラッグ画像に差し替えられる

米国には同性婚反対を訴えるNational Organization for Marriage (NOM)という団体があります。同性婚を認めると「異性愛者の権利が奪われる」「異性愛者の選択の自由がなくなる」などと訴えている不思議な団体*1で、当サイトのLGBTニュースでは、2009年にこちらのニュースで紹介済みですね。

この団体のウェブサイトが先週、他サイトの1コマ漫画の画像を直接呼び出すリンク(俗に言う『直リン』)を張り、それに気づいた漫画家が画像をレインボー・フラッグのものに差し替えたのだそうです。結果として、この悪名高いアンチゲイ団体のHPにレインボーフラッグの画像が表示されるという快挙となったそうです。

詳細は以下。

この1コマ漫画を描いたのはZach Weinerさんという方で、作品そのものはWeinerさんのサイトで見ることができます。

この作品には「人類がテクノロジーを作り出せば作り出すほど、私たちは過去の不気味なものとなっていくだろう」と称したタイトルがついています。コマの中では、気持ち悪そうな表情を浮かべた子供たちに向かって、ひとりの老人がこう話しています。


わしの時代には、人間は人間の女性の体内に精液を注入して、その女性の体の中で胎児が育ったもんじゃ。
IN MY DAY YOU INSEMINATED A HUMAN FEMALE, AND THE BABY DEVELOPED INSIDE HER BODY.

どうやらNOMはこれを、同性愛者が人工授精で子供を持つことへの批判だと誤解し、自分たちと同じアンチゲイなメッセージを持つ漫画だと思い込んで直リンしたらしいんですね。

ちなみに直リンは画像が置いてあるサーバに負担をかけるため、マナー違反とされる行為です(参考:直リン絶対やっちゃダメ!)。WeinerさんはTwitterのフォロワーからの連絡で事態に気づき、画像をレインボーフラッグ画像と置き換えて、さらにトマス・ジェファソンが平等について書いたことばの引用文を添えたのだそうです。最初はわいせつな写真と入れ替えようと思ったのだそうですが、「センスのある方法をとった方がより人を引きつけるという結論に達した」とのこと。

Weinerさんが閲覧者に対し、レインボーフラッグ画像(への直リンク)が削除されないうちにスクリーンショットを撮るよう呼びかけたため、NOMのサイトはクラッシュするはめに陥ったそうです。わははははは実に痛快。

ちなみにレインボー画像とトマス・ジェファソンのことばは、Weinerさんのサイトで見ることができます。引用文を訳すと、こう。


「我々は以下の事実を、すなわちすべての人は生まれながらにして平等であるということを自明のものと信じる。」
トマス・ジェファソン、アメリカ独立宣言
"We hold these truths to be self evident, that all men are created equal."
Thomas Jefferson, Declaration of Independence

アメリカ人なら誰でも知ってるはずのこの文章を持ってくるあたり、超クール。このセンス、見習いたいです。