NYタイムズ:「同性カップルは異性カップルよりも生涯で最大46万ドルよけいにお金がかかる」

アメリカの同性カップルは、異性カップルに比べ、医療や税金などで生涯で最大約46万ドル多くお金がかかるというニュース。46万ドルというと、日本円にして約4100万円弱ですよ。うわあ。

この試算を行ったのは、ニューヨーク・タイムズでパーソナル・ファイナンス関係の記事を担当しているTara Siegel Bernard記者とRon Lieber記者のふたり。異性愛カップルと同等の立場にある同性愛者カップルを想定し、医療保険社会保障、遺産税、子育て、年金、IRA(個人退職勘定)、tax preparation(所得税還付のための手続き)、財務計画、所得税などの面から比較したところ、最高で計467562ドル、最低でも41196ドルの差が出たということです。

異性カップルと同じ状況での支出を比較するため、この試算では「子供がふたりいて、カップルの片方が育児のため5年間家にいる」というカップル像が想定されています。税金の算出には、同性愛者の推定人口がもっとも多い州、すなわちニューヨーク、カリフォルニア、フロリダの税制を考慮に入れたとのことです。想定カップルの年収は140000ドルで、これは上記3州の30〜40代で、大学卒で、さらに18歳以下の子供を育てている同性カップルの平均年収だとのこと。これを、「片方が年に11万ドル、もう片方が3万ドル稼いだ場合」「双方が年7万ドルずつ稼いだ場合」に分けて詳しく比較検討した結果が、上記の数字なんだそうです。

具体的にどの局面でどれぐらい多く負担を強いられる計算になったかは元記事を見ていただくとして、おそらく日本でもこういう生涯支出の差は相当あるだろうなと思いました。

さて、こういう話を紹介すると、「同性愛者は子供がいないのが普通だから税金が高くて当たり前」みたいなことを言い出す人がきっといると思います。でも、異性カップルは子供がいなくてもjoint returnだの配偶者控除だの相続税控除だの遺族年金だのの恩恵にあずかれています。そして、同性カップルは、たとえ上記の試算のように子供を育てている場合でも、多くの局面でそれらの恩恵から締め出されています。「子供がいないから云々」というのは「まず差別ありき」「現状維持ありき」の詭弁にすぎません。一刻も早くこうした不平等がなくなるといいと思います。

単語・語句など

単語・語句 意味
a round number 概数
estate tax 遺産税
spousal 結婚の、婚礼の
I.R.A. Individual Retirement Accounts, 個人退職勘定
fork out (大金などを)(しぶしぶ)手渡す、支払う
incur 負う、こうむる
outline …の概略を述べる、…の輪郭をはっきり示す、大要を述べる