「公共(笑)」「破廉恥(笑)」「子どもに悪影響(笑)」「血税(笑)」「常識(笑)」

(市民の声)
 現在、アメリカ合衆国という大きな国において、一般に「黒人」と称される有色人種の男が次期大統領に選出されています。この黒人が行ったスピーチの動画まであり、しかも、そのような内容が一般国民向けのものであることには驚きを隠せません。彼に関する報道写真は新聞も雑誌ともに「黒人男性が笑っている・家族と写っている」などの構図であり、多くの白人が利用する公共のメディアに、このような破廉恥な画像を一般記事と同じ面に並べて大量に報道するとは、ハラスメント以外のなにものでもなく、子どもに対する影響を心配する親のことをまったく考えていないという他ありません。


 また、限られた予算の中において、アメリカ合衆国としては他に優先すべき優秀な白人が他にもたくさんいます。「人種間の平等」ということもありますが、だからといって時の政権の象徴たるホワイトハウスにこのような黒人を置くこと、子どもに悪影響を与えかねない人種を市民の血税により首長として選出し、公職である大統領の座に据えることを正当化できるのでしょうか。


 今後はこのような人種を大統領とする前に、乳と蜜の流れる約束の地たるアメリカ合衆国に有用な白人を登用していただきたいと思います。市民が汗水流して働いて収めた税金です。その税金でどのような人を選出すればよいのか、常識的に考えていただきたいのです。

おお、改変ネタだというのに驚くほど違和感がない。こうして見ると、「公共」「破廉恥」「子どもに悪影響を与えかねない」「市民の血税」「常識」などのことばが、実は論理を支える力をほとんど持っていないことがよくわかりますね。このようなもっともらしい用語を並べるだけで結局結論(『黒人を大統領にしてはいけない』)を支える合理的根拠をひとつも示せていない意見に納得できるのは、もともと白人優越主義者である人だけでしょう。
ちなみに改変元はこちら↓。堺市の図書館にBLが購入されていたことに苦情を呈した市民さんとやらのご意見です。


(市民の声)
 現在、北図書館・南図書館・西図書館・中図書館という堺市の4つの大きな図書館において、一般に「BL(ボーイズラブ)」と称される少女向け男性同性愛の本が大量に開架されています。男性同士の性愛行為の描写まであり、しかも、そのような内容が一般に少女向けの本であることには驚きを隠せません。本の表紙は表も裏もともに「男性同士が抱き合っている・キスをしている」などの絵であり、多くの一般市民が利用する公共の施設に、このような破廉恥な表紙の本を一般図書と同じ書棚に並べて大量開架するとは、セクハラ以外のなにものでもなく、子どもに対する影響を心配する親のことをまったく考えていないという他ありません。


 また、限られた予算の中において、図書館としては他に買い揃えるべき有益な本が他にもたくさんあります。「表現の自由」ということもありますが、だからといって文化・教養の場である図書館にこのような本を置くこと、子どもに悪影響をを与えかねない本を市民の血税により大量購入し、公共の場である図書館に開架することを正当化できるのでしょうか。


 今後はこのような本を大量に購入する前に、文化・教養の場である図書館に有用な図書を購入していただきたいと思います。市民が汗水流して働いて収めた税金です。その税金でどのような本を買えばよいのか、常識的に考えていただきたいのです。

さて、上の改変バージョンにはひっかかりを覚えたのに、下の「市民の声」には「もっともだ」と思ってしまった子はいねがー。そういう人って結局、「BLは図書館に置くべきでない」という主張そのものに同意しているのであって、決してその主張を支える論理(もどき)の部分に同意しているわけではないと思うんですよね。そして、論理の道すじを度外視して何かを排除・規制しようとするのって、図書館にBL小説を置くことなんかよりよっぽど怖いことだとあたしは思います。昔から「言い訳と膏薬はどこにでもくっつく」と言いますけど、単に自分が嫌いなものを排除するために「公共」「血税」「子供に悪影響」「常識」等の言い訳を持ち出してもったいぶる人、そしてそういう意見にたやすく賛同する人には要注意だな、と思った一件でした。