元ネイビー・シールズのトランス女性、著書『Warrior Princess』でカミングアウト

米海軍特殊部隊「SEALS」の元隊員で、超エリート隊の「TEAM 6」にも所属していたクリスティン・ベック(Kristin Beck)さんが、2013年6月1日発売の自著でトランスジェンダー女性としてカミングアウトしました。

詳細は以下。


【6月6日 AFP】米海軍特殊部隊「シールズ(SEALs)」で勲章を授与される活躍をした後、ホルモン治療を受けて女性としての人生を送るようになった元男性隊員が1日、回顧録「Warrior Princess(仮訳:戦士のお姫様)」を電子書籍で出版し、トランスジェンダーとしての半生を明かした。トランスジェンダーであることを公表するのを恐れる人々に同書を捧げている。
米軍では兵士の同性愛公言に対する禁止が解除されて2年近くが経つが、トランスジェンダーの男女が兵役に就くことは依然として禁じられたままだ。

報道によれば、出版にあたってかつての仲間のシールズ隊員たちから激励や支援のメッセージが届き、ベックさんを驚かせたという。ある隊員からは、こんなコメントが届いたという。「兄弟、俺は君の味方だ。シールズの任務はきついが、こいつはもっときつそうだ」

2011年に退役したベックさんは、そこで初めて女性として生活できるようになった。本の中でベックさんは語っている。「私は、魂に性別があるとは信じていません。ですが、私が進む新しい道は、私の魂を完全で幸せなものにしてくれます」
「私の旅が、人間の経験に幾らかでも光を当て、そして何よりも性別には男女の2択しかないという『社会的・宗教的な教義』を治療する助けになることを願います」 (c)AFP/Dan De Luce

恥ずかしい話ですが、あたし、米国ではトランスジェンダーが兵役につくのを禁止されていると今の今まで知りませんでした。"Don't ask, don't tell"が終わったからって浮かれてる場合じゃないわ。まだ問題は山積みだったんだわ。
ハフィントン・ポストによると、ベックさんは軍隊時代、もうジェンダーアイデンティティと身体との不適合に苦しまなくて済むよう、国のためにテロと戦って名誉の死をとげたいとすら考えていたとのこと。ベックさんはそもそも小さいうちから自分は女だという自覚があったとのことで、超マスキュリンな軍隊という世界で「男」として働くのはさぞや苦痛も大きかったことと思います。訓練やアフガニスタンでの戦闘の間、彼女はセクシュアリティの「スイッチを切って」戦いに没頭することで、自分のアイデンティティを押し隠し続けたのだそうです。

2011年に軍隊をやめ、肩から重荷が下りたベックさんが書いたのが『Warrior Princess』。こちらの本です。

Warrior Princess  A U.S. Navy SEAL's Journey to Coming out TransgenderWarrior Princess A U.S. Navy SEAL's Journey to Coming out Transgender
Kristin Beck Anne Speckhard

Advances Press 2013-06-21
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AFPBBは「電子書籍で出版」と伝えていますが、米国では既にkindle版とハードカバー版が両方出ており、Amazon.comによればペーパーバックも6月21日発売予定です。日本のAmazonでは6月1日にkindle版が発売されていて、ハードカバーとペーパーバックはどちらも6月21日発売予定となっています。
なお、AFPBBの報道では「トランスジェンダーであることを公表するのを恐れる人々に同書を捧げている」となってますが、こちらもちょっと不正確です。Amazon.comの"LOOK INSIDE"(なか見! 検索)機能を使って今確かめたところによれば、この本の献辞にトランスジェンダーということばはありません。家族と、シールズの兄弟たちと、そして次の人々にこの本を捧げると書かれていますよ。

弱者たち、アクティヴィストたち、踏みにじられているけれども追いついて、時に追い越し、勝者となる人々へ。戦いを続けてください!
To the underdogs, the activists, the down trodden who catch up and sometimes even surpass and triumph. Keep up the fight!