ロンドンのゲイコーラスグループ、同性愛者の若者を励ますビデオキャンペーンに協力

ゲイ男性のコーラスグループ「ザ・ロンドン・ゲイ・メンズ・コーラス」(The London Gay Men’s Chorus)が、同性愛者の若者を力づけるプロジェクトのために動画を収録したそうです。このプロジェクトは「Proud2Be Project」といい、公式サイトによるとLGBTQの若者が自分に誇りを持てるよう励まし、サポートするものだとのこと。

詳細は以下。

で、その動画がこちら。http://www.youtube.com/watch?v=dkUhUzLv73k

これだけだとザ・ロンドン・ゲイ・メンズ・コーラスの普段の活動がわかりにくいんですが、YouTubeにはいろいろ動画がupされています。たとえば、賛美歌「天には栄え」をカミングアウトをテーマにした替え歌にしたパフォーマンス(http://www.youtube.com/watch?v=GWPMkDDAb7w)なんてのが面白いです。(歌詞はこちら。)

ドリー・パートンとの共演映像(http://www.youtube.com/watch?v=IXzElQEf19I)もあります。

ちなみにこのニュースを報じたPinkPaper.comでは「Proud2Be Project」創設者ふたりの言葉が紹介されていて、いろいろと感慨深かったです。


「子どもの頃、学校や教会やメディアや社会から我々が受けた圧倒的なメッセージは、同性愛者であることは何か恥ずべきことだというものでした。時代は変わりつつあるという人は多いでしょうが、私たちにとって、その変化は遅すぎるんです」

“As children, the overriding message we received from our school, our church, the media and society was that being gay was something to be ashamed of. Although many would argue that times our changing, for us change could not come fast enough,”


LGBTの若者が受けとるメッセージは、いまだに私たちが子ども時代に聞かされたものとそう変わりません。子どもが学校でいじめられないために「よりゲイっぽくないよう行動する」ようにと言われるとき、そのメッセージは声高で、かつ明瞭です。教師たちが「ゲイ」という言葉を侮辱のために使う子どもたちに異議を唱えないとき、そのメッセージは声高で、かつ明瞭です。有名人たちがトランスジェンダーのコミュニティーを評して軽蔑的で無礼な言葉を使い続けるとき、そのメッセージは声高で、かつ明瞭です。

Still the messages our LGBT youth receive are not too dissimilar to the ones we heard as children. When a child is told at school to ‘act less gay’ to avoid being bullied, the message is loud and clear. When a teacher fails to challenge a student who uses the word ‘gay’ as a put down, the message is loud and clear. When public figures continue to use derogatory and offensive language to describe the transgender community, the message is loud and clear.


「私たちが望むのは、LGBTQの若者たちが新しくて愛情に満ちたメッセージに触れて、そのメッセージが他のメッセージより大きく、かつ明瞭であるということです」
“Our desire is for our LGBTQ youth to access a new loving message and for that message to be as loud and as clear as the rest.”

これを読んでいる間じゅう思い出していたのが、昨日上げたエントリ「NHKの『Born This Way』改悪がイスラム教国の検閲よりひどい件について - みやきち日記」のこと。

いちいち細かく実例は挙げませんが、あの改竄字幕を、「いろんな視聴者にわかりやすくしただけ」(要約)「一般大衆に合わせるためには仕方ない」(要約)とか言って擁護している人をけっこう見かけたんですよネットで。でもその「いろんな」視聴者や「一般の」大衆っていったい誰のことだよと思うわけ。要するにこういう意見って、ソバ食いながら平和に紅白見てる性的マイノリティやその友人たちは「いろんな人」の仲間には入れてやらないよ、シスヘテロ(の偏見持ち)の価値観が優先されて当然だよと暗黙裏に言い切っちゃってるわけで、そこに含まれているメッセージはちょう声高かつ明瞭だとあたしは思うんですね。
「いろんな」視聴者の存在を盾にしてあの「Born This Way」字幕を擁護するのって、『シンドラーのリスト』の字幕を改変してナチスを賛美させて「ほら、『いろんな人』が見てるんだから、ユダヤ人嫌いの人たちの気持ちも考えないと!」と言うのと同じぐらいむちゃくちゃだと思います。で、そういう発想が欠片もなさそうなああいう発言を見ていると、やっぱりダメージがたまるんですよ。13年間もレズビアンサイトをやってて、ホモフォビックな人に接することには慣れっこになったすれっからしの同性愛者のあたしでさえも、澱のような蓄積疲労が地味にたまっていくんです。

しんどいことだけど、こうしたメッセージを上書きするぐらい、「てめえら許せねえ」「セクマイで何が悪い」っていうメッセージを発していかなきゃならないんだろうな、と思います。ガチでそうした仕事に取り組んでいる「Proud2Be Project」とそれに協力するザ・ロンドン・ゲイ・メンズ・コーラスを、あたしは尊敬します。