「バットマンは完全にゲイ」作者グラント・モリソン語る


2006年以来バットマンのコミックを描いているグラント・モリソン(Grant Morrison)氏が、「プレイボーイ」誌のインタビューで、「バットマンは完全にゲイ」と発言したそうです。
詳細は以下。

グラント氏によると、バットマンヘテロセクシュアルのキャラという設定ではあるけれども、ゲイな感覚が「コンセプトの中に組み込まれている」とのこと。


「軽蔑的な意味で言っているのではないのですが、バットマンはとても、とてもゲイなんです。否定するのはとうてい不可能です。架空のキャラクターとして異性愛者に描かれていることは確かですが、コンセプト全体の基盤は完全にゲイです。
「それがバットマンの人気の理由なのだと思います。女性たちはみなバットマンに魅了されて、彼を手に入れようとフェティッシュな服を着て屋根の上を飛び回るのに、バットマンは気にもかけない――彼は老人や若者とつるむことの方に興味があるのです」
"I'm not using gay in the pejorative sense, but Batman is very, very gay. There's just no denying it. Obviously as a fictional character he's intended to be heterosexual, but the basis of the whole concept is utterly gay.
“I think that's why people like it. All these women fancy him and they all wear fetish clothes and jump around rooftops to get to him. He doesn't care - he's more interested in hanging out with the old guy and the kid."

バットマンにおけるホモエロティシズムというのは、かなり昔から指摘されていると思います。ロビンとの間にそこはかとなく漂うセンシュアルな雰囲気(同じベッドで寝てたりすんのよ!)は有名です。だから「何を今さら」感がなかったと言えば嘘になりますが、それでもやっぱり、作者がこうもはっきり発言したことに驚きました。
今ちょっと検索してみたのですが、このモリソン氏は『New X-Men』の作者でもあり、キャラクタの「ビースト」に自分はゲイだと認めさせてる*1んですね。で、そのことについて、こんなことをおっしゃってます。


「私はゲイであることはひとつのラベルに過ぎないという事実を伝えようとしていたのです。ちょうど「黒人である」とか「英国人である」とか、「マドンナのファンである」とかいうのと同じようなラベルです。
"I was trying to talk about the fact that being gay is just a label. Like 'being' black. or 'being' British. Or 'being' a fan of Madonna.

この考え方は好きだなー。異性愛者が全員同じ性格でないことを考えればすぐわかる通り、性的指向なんて、その人のただの一要素にすぎないんですよね。おそらくモリソン氏は、そのことを指して「ラベル」と言っているのだと思います。そんなわけで、作者が「とてもゲイ」と形容したからといってバットマンの今後の作風が何か変わるとは思いませんが、作者自ら公的にあのエロティシズムを肯定してみせたというのは、少なくとも自分にとってはビッグニュースでした。なんだかんだ言って、時代は少しずつ進歩しているのだと思います。