オハイオ州下院、LGBTへの住宅供給や雇用にまつわる差別を禁ずる法案を可決

米国オハイオ州の下院が、2009年9月15日、The Equal Housing and Employment Non-Discrimination Act (直訳すると『平等な住居供給および雇用における反差別法』)を可決したというニュース。

これは同性愛者やトランスを住宅供給と雇用の面での差別から保護する法案で、投票結果は賛成56対反対35。下院を通過したとは言え、オハイオ州の上院は共和党優位であることから、法案の今後の行く末が懸念されています。

ちなみにBill Harris 上院議長は、そのような保護が必要かどうか疑問だと公然と表明しているとのことです。Lynn R. Wachtmann R- Napoleon下院議員は、この法案の支持者は「不道徳な信念を口に出さないでおくべきだ」とし、「あなたたちは自分と違う信念を持つ人間を処罰しようとしているのだ」と言っているとか。また別の共和党下院議員は、この法は人々に、その人が不道徳だと信じていることを強いるものだと考えているそうです。

この人たちにとっては、性的指向ジェンダーアイデンティティを理由に人をクビにしたり、雇わなかったり、住居を貸さなかったりすることが「道徳」なんですね。あと、処罰云々っていうけれど、そもそも自分たちがそうやって同性愛者やトランスを迫害することで、神様気取りで「処罰」とやらをくだしてるつもりなんじゃないの? なら、「人をさばくな。 自分がさばかれないためである。あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられるであろう」っていう、自分たちが(おそらく)大好きな聖書のお言葉通りになったわけで、何が気に入らないのかよくわからないんですが。

あと、こういう話題で「アメリカは大変ねえ、でも日本は無宗教だから関係ないわ」って言いたがる人のために、以下、『パートナーシップ・生活と制度―結婚、事実婚、同性婚 (プロブレムQ&A)』(杉浦郁子・野宮亜紀・大江千束、緑風出版)(pp. 74. - 75.)から少し引用しておきます。


(引用者注:同性カップルは)まず一緒に住む家を探すのが一苦労です。同性同士だと法律上の親族ではありませんので、賃貸住宅の家族向け物件に入居できないことがあります。公営住宅にはそもそも申し込みもできませんし*1、マンション等を購入する時にローンを共同名義にすることも銀行等で断られてしまいます。一緒の家で生活を初めても、親族や地域の人に同居人をパートナーとして紹介していないこともあります。一人の名義で契約した賃貸住宅に、居候のような形でもう一人が住んでいる、というのもよく聞く話です。これは厳密には、契約違反として退去を迫られる恐れがあります。
そんなわけで、日本でだって、ただ同性同士であるというだけで、安心して住める住居を得るのは一苦労なんです。こんなもんですよ、セクマイの置かれている立場は。オハイオ州上院でこの法案が無事可決されてくれたらいいと思いますけど、無理でしょうかねやっぱり。しんどいなあ。

単語・語句など

単語・語句 意味
hold sway …を支配する、…に対して強い権力をもつ