米上院議員、息子のカミングアウトで同性婚支持派に鞍替え

米国の上院議員で、長らく同性婚反対派として知られてきたロブ・ポートマン氏が、息子がゲイだとカミングアウトしたため同性婚支持派になったと表明しているそうです。

詳細は以下。

同議員は共和党員であり、下院議員時代の1996年には、同性婚を禁止する連邦法の共同提案者となっています。1999年には、ワシントン州同性カップルが養子を迎えることを禁じる法案に賛成票を投じてもいます。2011年4月には、この議員のゲイに対する「おおっぴらに敵対的な」態度を問題視したミシガン大の生徒たちが、卒業式での彼の来賓スピーチをボイコットするという騒ぎも起こりました。そのときにポートマン上院議員のスポークスマンが出した声明はこちら。


「ロブは結婚とは男性と女性の間の神聖な結びつきだと信じています」
"Rob believes marriage is a sacred bond between one man and one woman,"

もちろん2012年の合衆国大統領選挙では、赤い服を着てロムニーを応援。箸にも棒にもかからない「ザ・共和党」な感じ。しかしながら、Columbus Dispatchなどが2013年3月15日に報じたところによると、同議員は14日、息子のウィルくんからカミングアウトされていることをオハイオ州の新聞に伝え、同性婚に反対するのはやめると表明したんだそうです。

現在イェール大学の学生であるウィルくんが両親にカミングアウトしたのは、2011年の2月。その後2年間を経てポートマン議員の考え方も変わり、今ではこんな風に思っているとのこと。


「このおかげで、この問題について新しい視点から考えることができるようになりました。それはつまり、息子をとても愛していて、彼にきょうだいたちと同じ機会を得てほしいと願う父親としての視点です」
“It allowed me to think about this issue from a new perspective and that’s as a dad who loves his son a lot and wants him to have the same opportunities that his brother and sister have,”

で、今では同性婚に賛成、と。

ううむ。

そりゃ、永遠に反対派であり続けられるよりはよっぽどいいけど、これって要するに、「よその息子がゲイで結婚できなくてもどうでもいいと思っていたが、うちの息子が結婚できないのは困ると思った」と言ってるも同然なんじゃ……。
よその親やよその息子の身になって考えられない人に、政治家がつとまるのでしょうか。彼が共同提案した結婚防衛法のために自殺に追い込まれた人までいるのに、そこについてはどう考えているのでしょうか。

そんなわけで、ちょっと手放しでは喜べないニュースでした。そう思ってるのはあたしだけではないようで、ハフィントン・ポストのコメント欄でこんな含蓄のある名言を引用している人がいましたよ。


「行動が、そして行動のみが、その人の価値を決めるのだ」
イーヴリン・ウォー(訳注:英国の小説家)
“Your actions, and your action alone, determines your worth.”
Evelyn Waugh

てなわけで、ロブ・ポートマン上院議員のこの転向をどう評価するかは、彼の今後の行動次第なんじゃないかと。