『ツレがうつになりまして。』(細川貂々、幻冬舎)感想

ツレがうつになりまして。ツレがうつになりまして。
細川 貂々

幻冬舎 2006-03
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作者さんが一緒に暮らしているツレ(夫)のうつ病と回復の日々をつづるコミックエッセイ。コミカルな筆致なのに、元うつ病患者のあたしの目から見ても細かいところまでとてもリアルで、おもしろかったです。ツレさんの症状をここまで把握していた作者さんに愛を感じます。本当にしっかりと寄り添っていらしたんだろうなあ。
うつ病というのは気分が沈むだけでなく、傍から見てると笑っちゃうような謎の症状がいくつかあると思います。貂々さんはその不思議っぷりを「宇宙カゼ」と称していますが、まさしくそんな感じです。この本では、「ゴミ集積所の前で突然『自分はゴミ以下だから、ここでゴミと一緒にしゃがんでいようか』と涙ぐむ」とか、「レジ前で急にお金の計算がわからなくなる」とか、「なぜか『渡る世間は鬼ばかり』が見られなくなる」とか、ある意味まるでギャグのような「宇宙カゼ」の諸症状が淡々と面白がりながら描写されているのがとてもいい感じ。現在うつ病の人やそのパートナーが読んでも参考になる本ですし、「自称うつ病」の人に振り回されている人にとっても、本当のうつ病の姿がわかる良いテキストになるのでは。