「他人と違う特別な私」をアピールする時点で既に他人といっしょ

以下は、画家(専門は洋画)の友人が以前言ってたこと。


「他人と違う特別な私」をアピールしようと狙って絵を描いたって、個性的な絵になんてならないよ。だってそんなの誰でもやってることだもん。当人が単純に「こういうの好きだなー」「これが普通だよなー」と思って描いてるのに、完成したらなぜか他の人とぜんぜん違う絵だったっていうのが個性だ。放っといても表れちゃうもんなんだ。

「見たものを見たまま正確に描く」ってところまでは、正しく訓練すれば誰でもできる。でも、そこから先で、自分にしかできないものを出していくっていうのは、努力や訓練だけじゃどうにもならない。そういうのが個性とか才能とかってやつなんだよ。
つまり、「特別な私」になりたくていろいろ演出するのは凡人のすることで、ほんとうに特別な人は何も狙ってなくても最初から特別だってことですな。絵に限らず、何にでも言えることでしょうね、これは。

そういえば、先日大好きな漫画家さん(この人も友人)に作品の感想を伝えていて、「すげーすげー! こんな絵描く人、他にどこにもいないよ!」と興奮ぎみに言ったら、「こんなどこにでもある絵のどこがそんなに気に入ってくれたんだかわからない」と真剣に首をかしげていたな……。ほんとうにすごい人というのは、そういうものなんだと思います。