「ブログ文章術」は女性週刊誌の「こうすれば痩せて見える!」という記事と同じなんじゃないか

千年近く昔。宋代文学の第一人者である欧陽修コーチは、次のように云ってます。
文章上達の極意は、「三多」である!
「三多」というのは、「看多、做多、商量多」の三つで、「多く読み、多く書き、多く考えよ」という意味です。

伝説の名コーチ谷崎潤一郎も、こう仰ってます。

講釈をせずに、繰り返し繰り返し音読せしめる、或いは暗唱せしめると云う方法は、まことに気の長い、のろくさいやり方のようでありますが、実はこれが何より有効なのであります。が、そう云っても今日の時勢にそれをそのまま実行することは困難でありましょうから(谷崎潤一郎文章読本』P91)

昭和九年の時勢にすでに困難と云われております。

さて。
千年も昔から、おおぜいの名コーチや迷コーチが「三多」を唱え続けてきて、それは、あの、もう、ごめん、「おかわり」いらないっす。ごちそうさま(おなかぷんぷくりんのまま逃走)。
だから、この「ブログ文章術」では、縦の序列を昇っていくイメージで文章をとらえるのをやめて、多様な横のつながりを楽しもうじゃないの。
ということを考察・実験していこうと思うのです(というか、今、やっているのが、その考察・実験なんです)。

つまりダイエットに例えて考えると、欧陽修や谷崎潤一郎や、米本氏がこのエントリで言及されているekken♂さんまなめさんululunさんは、「痩せたかったら運動しなさいよ」「エネルギー計算をして、摂取量が消費量を上回らないようにしなさいよ」と、ごくまっとうなことを言っているわけです。しかし何度ダイエットの王道を説かれても痩せられない層というのは必ずいるわけで、そういう人向けに「3kg痩せて見える! 『スリム脚パンツ』特集」みたいな女性誌の特集があるわけですね。で、そういうものを好んで読む読者は、痩せられないまでも痩せて見えるような気になって楽しくなるし、ひょっとしたらそれで自信がついて恋に落ちたりすることもないではないかもしれない。米本氏がやろうとしているのはひょっとしてそういうことなのかな、とぼんやり思いました。
あとはあれだな、受験直前期に出回る「センター試験は裏技でOK!」なんて謳い文句の怪しい受験必勝本にもちょっと似てるかも。いずれにせよ、当たり前のことを愚直にやるのが好きなあたしのような人種にとっては「ブログ文章術」はあまり参考になりそうもないなあと思っています。
2006-03-06追記)よく考えたらあたしが書いてるのはブログじゃなくて日記だから、そもそもブログのための文章術というものは必要ないし関係ないんだった。ちなみにあたしにとって文章を書く上でもっとも役に立ったのは、大学で学んだ英語論文の書き方でした。パラグラフ・ライティングのやりかた、と言ってもいいですね。