いろいろと意味不明なボディビル記事発見

ボディビルダーの目から見ると、この記事、いろいろとひどいです。もっともひどいのが、オチのこの部分。


浅黒く日焼けした肌は鍛えた筋肉をより美しく見せる。写真の彼はその演出にこだわったのはいいが、首から上への配慮を怠ったため、不自然に色の薄い頭部が逆に目立ち、ニセの日焼けが明らかになってしまったようだ。来年こそは忘れずに顔も塗るか本当に日焼けをして、リベンジされることに期待したい。

「ニセの日焼けが明らかに」も何も、ボディビルダーがカラーリング剤で肌の色を黒くするのは当たり前のことですよ。日焼けだけでは効率が悪いし、健康ダメージも大きいので、大会ルールで禁止されていない限り(『会場を汚すから』という理由でカラーリング禁止の大会もあります)プロタンやドリームタンなどのボディカラーを塗るのが一般的です。ほら、こんな風に。
【動画1】プロタンを塗り込むビルダーたち。プロタンはコンテストの1〜2日前から何回か重ね塗りするものなので、既にかなり黒くなっている人が多いです。

【動画2】ドリームタンの使用例。ドリームタンはいきなり濃い色に仕上げることができるので、コンテスト直前に塗ります。

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つまり、冒頭の記事で揶揄されている競技者のおかしな点は「ニセの日焼けが明らかになってしまったこと」ではなく、「ボディカラーを何故か首から下にしか塗らなかったこと」なんです。それだって別にルール違反ではないし、コンテストでの評価にも影響は出ないはず。それに気づかず「本当に日焼けをして」リベンジ云々と書くのは、あまりにも不勉強というものでしょう。

さらに細かいことを言うなら、アーノルド・クラシックのような有名な大会を「シュワちゃん発案のボディービル大会」と形容するところも意味不明。これってまるで、ノーベル賞をいちいち「ダイナマイトの発明者が創設した世界的賞」と言い換えるようなもんですよ。「村上春樹、ダイナマイトの発明者が創設した世界的賞の文学賞を逃す!」とか書いたら、誰にとってもわかりにくいでしょうが。ひょっとしたら、「アーノルド・クラシック」では一般人に通じにくくてPVが稼げないという理由で、ネタ元の英文記事内にあった"the brainchild of Arnold Schwarzenegger"という部分を直訳されたのかもしれませんが、これではまるでアーノルドが最近新たな大会を創案したかのようで、見出しとして変。なんでもかんでもボディビル=シュワちゃんというのは70年代で発想が止まってますよ。もう少し調べて書けばよかったのに。