バスケ選手に1日10時間寝させるとスプリント走が速くなり、シュートの正確性も向上
睡眠時間を長くするだけでスポーツのパフォーマンスが向上するという夢のような報告を見つけました。雑誌「CIRCUS」2012年4月号で、早稲田大学スポーツ科学学術院教授の内田直氏が以下のように語っています(p. 50)。
アメリカの睡眠学会が発行する『スリープ』という学術誌の中で、シェリー・マーという学者が大変興味深い研究発表をしています。それは、スタンフォード大学のバスケット選手に、無理にでも1日10時間寝るようにと指導して、2ヵ月の間、効果を測定してきたもので、なんとダッシュのスタートはどんどん速くなるし、フリースローもたくさん入るようになったとの記録が残されているのです。さらに、選手たちの自覚の部分でも、試合への集中力は格段にアップし、フリースローもたくさん入るようになったとの記録が残されているのです。
調べてみたのですが、この発表というのはこれみたいですね。
こちらによると被験者は11人で、平均年齢は19.4 ± 1.4歳。実験では普段通りの睡眠習慣を2〜4週間続けさせたのちに、最低でも夜10時間はベッドに入る生活を5〜7週間続けさせたとのこと。結果として、
- スプリントのタイムが16.2 ± 0.61秒から15.5 ± 0.54秒へと向上
- フリースローの成功率が9%増加
- スリーポイントシュートの成功率が9.2%増加
- 気分プロフィール検査(Profile of Mood States)の点数で、活気が向上し、疲労が減少した
などが観察された模様。
被験者が少ないし、さらなる研究が待たれるところですが、それでも単に10時間(以上)寝させるだけでこれだけの変化が観測されたとは驚きです。そういえば自転車選手のランス・アームストロングも『ミラクルトレーニング―七週間完璧プログラム』(未知谷)の中で、最低でも8時間、しばしば10時間の睡眠をとれと言ってました*1っけ。あれはまことに理にかなったことだったのですね。日本のAmazonレビューでは「そんなにたっぷりと睡眠時間をとれる方が羨ましい」と書いてる人がいましたが(日本らしいなー)、うらやましいもなにも、最高の力を引き出すためにはそれだけの睡眠が必要だという単純な事実があるだけでは。
前述の内田氏は「とにかく、「これでいい」と思う時間よりも、長く寝ることで自分の潜在的な力が引き出せる」と主張しています。ロングスリーパー気味な自分としては、いっぱい寝まくる言い訳ができて嬉しいです。
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*1:『The Lance Armstrong Performance Program: 7 Weeks to the Perfect Ride』. p. 95.