「ヴァンパイアも狼男もOK、ただし同性愛はダメ」なロマンス小説コンテストが中止に


米国で開催されていたロマンス小説コンテストが、「どのジャンルでも同性愛ものは不可」というルールを設定して批判を呼び、中止となったそうです。

詳細は以下。

このコンテスト「モア・ザン・マジック」は、ロマンス小説であればヴァンパイアものでも、狼男ものでも、歴史ものでもエロティカでも応募可というもの。優勝賞金は495ドル。主催団体はオクラホマ州の「ロマンス・ライターズ・インク」(RWI)という団体で、なぜか今年から「いかなるカテゴリーでも、同性同士の物語は応募不可」という規定が設けられていたのだそうです。

この規定についてロマンス小説家のカリ・グレッグ氏が同団体に説明を求めたところ、「RWIの支部会員は同性同士の話の応募を受け付けることを快く思っていない。同性同士というのはやりすぎ("too much")だ」という返事が返ってきたとのこと。グレッグ氏はguardian.co.ukに対し、「こんなことが許されるという傲慢な思い込みに激怒した」「ひとりのプロフェッショナルとしても、子を持つ親としても『よくもこんなことが言えるものだ』と即座に思った」と述べています。

現在、RWIのWebサイトには、「モア・ザン・マジック」を熟慮の上中止するとの告知文が掲載されており、その末尾にはこうあります。


私たちは同性同士の作品の応募を認めないということが非常に議論を呼びそうなものであると認識しています。私たちはヤングアダルト作品の応募もまた受け付けないと決めています。私たちは、どのような人に対する差別も黙認しません。
We recognize the decision to disallow same-sex entries is highly charged. We also opted not to accept YA entries. We do not condone discrimination against individuals of any sort.

あんな規定を設けておきながら、「どのような人に対する差別も黙認しません」? ええと、言ってる意味がよくわからないんですが。ひょっとして、「同性愛以外にも応募不可なものはあるんだから差別じゃない」とでも言いたいんでしょうか。でもこれ、結果として、「私には嫌いなものがふたつある。人種差別とニガーだ」っていう古典的ジョークと同じことになってしまっているだけでは。
作家のハイディ・カリナン氏は「(RWIは)脅されたと思ったのであって、自分たちが差別していたと完全にはわかっていない」と指摘していますが、あたしも同意見ですね。もう心ある書き手さんはこんな団体を見放して、よその賞を目指した方がいいと思うわ。こんなところで賞をとっても、不名誉にしかならないよ。