「同性カップルは家に入れたくない」と主張した元教区司祭、子供の里親になることを拒否される

里子を預かろうとして申し込みをした英国ランカシャー州の元教区司祭夫妻が、地方委員会に対し、「養親候補の同性カップルを家に入れたくない」と発言したために申し込みを断られたというニュース。

ややこしいのでまず用語説明を。

  • 里親(foster parent):血のつながらない子供を、養子縁組なしに一定期間自分の家に預かって育てる「親」
  • 養親(adoptive parent):血のつながらない子供と養子縁組し、法的な親子となって育てる「親」

要するにこのカップルは、すなわちJohn YallopさんとColette Yallopさんは、里子を預かって育てるのはいいけれども、その後里子との養子縁組を希望する同性愛者のカップルが現れても家には入れないと発言したんですな。で、それが差別的であるとして、委員会から里子受け入れの申し込みを却下されたというわけです。

ちなみに、養親候補はふつう、子供の受け渡しのプロセスで里親宅を訪問するものなんだそうですよ。それなのにこの2人が同性愛者のカップルを家に入れたくない理由は、「うちの5歳の娘と7歳の息子が同性カップルを見たら混乱するだろうし、子供たちにこの話題で質問されたくないから」だとのこと。

Yallop氏(62)がデイリーメール紙に対して話したという以下の内容がまたすごい。


「私たちはホモフォビックではなく、同性愛者と共に歩んできました。しかし、子供の引き渡しに際して同性カップルを我が家に招くのは、私たちの家庭生活と子供たちに対して有害であるかもしれないと思うのです。
'We are not homophobic and have worked alongside gay people, but we believe inviting gay couples into our home for the handover process might be detrimental to our family life and our young children.

差別はしたいが差別者の汚名は着たくない、そこで「子供」をダシに自らの行為を正当化しようとするという、よくありすぎてお腹いっぱいのパターンですな。同性カップルを、「見ただけで害をなすもの」扱いしてる時点で、立派な差別野郎だってのに、往生際が悪いったら。

ちなみにYallop氏は、ソーシャルワーカーに対しては、

  • 同性愛者がひとりでYallop氏宅を訪問するのはかまわない
  • 家でなく子供センターでなら、同性同士のカップルに子供を引き渡してもいい

と話したりもしているそうです。でも、これだと「自分の子供には『有害な』同性カップルを見せずにおくが、里子を『有害な』同性カップルに引き渡すのは平気」ってことになっちゃわない? 二重の意味で差別的でしょ、この人たち。

とりあえずランカシャー州の地方委員会がこんな夫妻に里子を引き渡さない決定をしてくれてよかったです。ちなみにYallop夫妻はこの決定に抗議する予定だとのことですが、わたくしはPinknewsのコメント欄のこちらの意見に賛成ですね。


それで、可哀想な養子はもちろん、彼自身の子供のどちらかがゲイだとわかったらどうなるんだ。
間違いなく地獄の責め苦だろ。
この男は養親はもちろん、親になるのにふさわしくない。
And what if either of his own children turn out as gay, let alone the poor adopted child.
Fire and brimstone all round no doubt.
This man is not fit to be a parent let alone an adoptive parent.

里親どころの騒ぎじゃないですよ、まったく。負けるなランカシャー州地方委員会。

単語・語句など

単語・語句 意味
vicar 《英国教》教区司祭、主任司祭
local council 《英》地方委員会(地方自治体の住宅供給・学校建設などを担当する行政機関)
fire and brimstone 火と硫黄、地獄の責め苦、天罰