ボストンの大司教管区、差別禁止を表明

2011年1月19日、ボストンの大司教管区が、同区のカトリック校は「どんなカテゴリーの生徒に対しても差別や排除をしない」という方針を発表したそうです。教区立の学校がレズビアンカップルの子どもの入学を拒否して、教会が非難を受けたため、このような告知が出されたとのこと。

詳細は以下。

2010年に、この教区のSt. Paul Schoolという学校が、親がレズビアンカップルだからという理由で8歳男児の入学を断るという事件が起こりました。ボストンのカトリック学校の主な出資者たちは、これを厳しく批判。低収入家庭の子どもたちに奨学金を提供しているThe Catholic Schools Foundationは、差別的な管理方針を持っている教育機関には助成を行わないと表明しました。

こうした動きを受け、Sean P. O’Malley枢機卿が牧師、地元教会、学校長宛に新しい方針をメールしたとのこと。この方針のもとでは、それぞれの学校は子どもの福祉と最善を考慮に入れた入学ガイドラインを成文化して学校案内に載せなければならないとされているそうです。

同性愛者のカトリック団体DignityUSAのMarianne Duddy-Burke常任理事は、差別禁止を歓迎しつつも、牧師や学校長が「子どもの最善」をすべての家庭にとって公平に解釈するか疑問が残るとしています。一方、同性婚を推進するカトリック団体Catholics for Marriage Equalityの共同創設者であるCharles G. Martel氏は、ボストンのガイドラインは「同性カップルの子供がカトリック教育を受けることは歓迎されるというメッセージ」を伝えるものであると述べているそうです。

カトリックと同性愛というと暗いニュースばっかり目に付く中で、これは久々の明るいニュースですね。でも出資者に批判されたから差別禁止っていうのはどうよとも思うし、Duddy-Burkeさんと同じく、「子どもの最善」なる言葉を盾にまた見当違いの差別がなされるんじゃないかとも危惧します。差別者はたいてい自分が差別しているという自覚がなく、それどころか最善のことをしていると考えてしまうものですからね。新しい方針のもと、本当に差別がなくなって、悲しい思いをする子どもが一人でも減ってくれるといいんですが。

単語・語句など

単語・語句 意味
archdiocese 大司教管区
parochial 教会区の、教区立学校の、宗教団体の援助を受けた、町村の、(意見などが)地方的な/偏狭な
subsidize …に助成金[補助金]を与える、…を援助[助成]する
pastor 牧師
parish 地域[地元]教会
disseminate 行き渡らせる、広める、普及させる
foundation 財団