UKのトランス女性、「違法だから」と女子トイレから排除され訴訟を起こす

英国North Tyneside郡のトランス女性Katrina Harteさん(46)が、いきつけのパブBriar Deneの従業員から女子トイレの使用を禁じられ、訴訟を起こしたというニュース。

Harteさんは数年前からトランジションにとりかかっており、今は最後の手術を待っている状態とのこと。18歳のときからこのパブに通っていて、女性として暮らし始めたときからずっと、パブのスタッフや常連たちに支えられてきたそうです。

ところがサン紙によると、4週間前、このパブの従業員のひとりがHarteさんが女子トイレを使うのは「法律違反」だと言い、今後は女子トイレではなく障害者用トイレを使えと要求したとのこと。「そんな法律は聞いたことがありません」とHarteさんは語っています。あたしも聞いたことないわ、そんな法律。

以下、Harteさんの言葉。


「気分が悪くなり、裏切られたと思いました。ただでさえトランスセクシュアルが飲みに行けるパブを探すのは大変なんです」
“I just felt sick and betrayed. It is hard enough for transsexuals to find pubs to drink in."


「私は本当に今後もあの店で飲みたいんです。フレンドリーなパブだし、あの店では長年たくさんのお金を使ってきました。気持ち良くすごせる場所を見つけたと思っていたんです」
“I really want to keep drinking there. It’s a friendly pub and over the years I have put a lot of money in their tills. I thought I had found somewhere I feel comfortable.”

この1件以来、Harteさんはくだんのパブには行っておらず、Briar Deneを差別で告訴したとのこと。Harteさんを支援するフェイスブックのグループには、既に260名ものメンバーが集まっているそうです。

トランスとトイレの問題って根深いんですが、この1件でわからないのは、どうして30年以上もそのパブの常連だったHarteさんが今さら女子トイレから閉め出されたのかです。ずっと通ってたわけですから、彼女が数年前からトランジションを始めたことも、その後女性として生活していることも知ってるわけでしょう、お店も常連も? それがなぜ、突然ありもしない法律を持ち出して「もう女子トイレは使うな」ってことになったのか理解不能です。

  • スタッフが偏見持ちのド新人だったとか?(ならそのスタッフを教育しろよ)
  • 文句を言う客がいたとか?(今さらその客の肩を持って常連のHarteさんを排除する理由は?)

……どう考えても腑に落ちないわ。

なお、「法律上『女性』になっていれば女子トイレを使ってもいいのでは」みたいな意見が出てきそうなので釘を刺しておきますが、UKの法律では、その性別での生活を一定期間おこなった後でなければ法的な性別変更が認められなかったはず。つまり、女性として女子トイレを使う生活を何年か送った後でなければ、法的に「女性」になれないわけですよ。トランスするために女性としての生活歴を積む期間に女子トイレの使用を禁じられるというのは矛盾しており、同意できるものではありません。早いとこ訴訟が落ち着いて、Harteさんが再び楽しくパブで飲めるようになるといいと思います。