米国の10代トランス女性、マクドナルドを差別で訴える

米国の17歳のトランスジェンダー女性が、マクドナルドに職の申し込みを2度断られたのは差別であるとして同社を訴えたというニュース。

この女性はフロリダ在住のZikerria Bellamyさん。11歳のときから女性として暮らしています。彼女は2009年6月28日、マクドナルド・オーランドー店の店長から「うちではホモ野郎は雇わない("We do not hire faggots.")」というボイスメールを送られたと主張しているそうです。YouTubeに音声が上がってます。

YouTubeより、ボイスメールの全文を訳すとこんな感じ。


「今日、(音声不明瞭)マクドナルドに来たな。何度来ようと関係ないんだ。お前は雇わない。うちの店ではカマ野郎は雇わない。お前は私に嘘をついた。自分は女性だと言った。それが嘘だ。17歳だと言ったな。信じられないよ。お前は嘘つきのブラザーで(音声不明瞭)。どうして私に嘘なんかつけるんだ? うちでは決して……」
"You went to (indistingushable) McDonald's today. It doesn't matter how many times you go down there. You will not get hired. We don't hire faggots. You lied to me. You told me you was a woman. And then you lied to me. You told me you were seventeen. I can't believe. You're a lying brother (indeistinguishable). How could you ever lied to me? We will never..."

BellamyさんはTransgender Legal Defence and Education Fund (TLDEF)の支援を得て、フロリダ州人間関係委員会にこの件を提訴しています。TLDEFによると、トランスの47パーセントがトランスであることを理由に解雇されたり、仕事や昇給を得られなかったりしているとのこと。また、米国の連邦法ではトランスの職業は保護されず、州レベルでも、実に38もの州にはトランスの仕事を守る法律が存在しないんだそうです。

なお、この件に関してマクドナルドの発表した声明文はこんな感じ。


「問題の人物のふるまいは当社の雇用方針を反映したものではありません。さらに、この人物は自分の権限の範囲を超えて行動しており、雇用の責任はありませんでした。問題の人物は、もはや当店で雇われてはいません」
“The behaviour of the individual in question is not reflective of the employment policies in the organisation. Further, this individual acted outside the scope of his authority and was not responsible for hiring. The individual in question is no longer employed by the restaurant."

まわりくどいけど、要するに「会社の方針であんなことを言ったのではありません、あの店長はクビにしました」ってこと?

それにしても、トランス女性が「男性だ」と名乗ったらそっちの方が嘘だし、トランスと同性愛とは違うし(かぶってる部分もあるけど全部がそうではもちろんない)、そもそもfaggotなんていう侮蔑的な語を使うところが大問題だしで、この店長、隙が多すぎ。

けれども、こうして無邪気に偏見を露呈してくれたからこそ逆に訴訟も起こせた、とも言えるかも。もっと巧妙に別の理由をでっち上げて門前払いされるケースも多いんだろうなと思います。ちなみに上に挙げたYouTubeのコメント欄を見る限り、米国にはまだまだすさまじいトランスフォビアがはびこっているようです。Bellamyさんにはぜひとも勝訴して、こういう連中の鼻を明かしてやってほしいです。