タイの性的健康促進団体「Mplus」、HIV/AIDSの予防と救済を訴えるアニメーションをプロデュース
タイのチェンマイにある、男性の性的健康を促進する機関「Mplus」が、HIV/AIDSの予防と患者の救済を目的とするアニメーションを製作したというニュース。
アニメーションは計4種あり、それぞれが
- 若いMSM(Men who have sex with men、つまり『男性と性交渉を持つ男性』の意。予防医学の分野では、「ゲイか異性愛者か」という線引きは意味をなさないため(自分を異性愛者と規定しつつ男性とセックスする男性もいるから)、この用語がよく使われます)
- トランスジェンダー
- タイ人や出稼ぎ労働者の男性セックス・ワーカー
- 「隠れMSM」
をターゲットとしているとのこと。
ちなみに上の方に貼り付けた動画は、男性セックスワーカー向けのものです。日本のアニメの影響がかなりありそうですね(どっかで聞いたようなBGMですし)。動きはややぎこちないものの、非常にわかりやすく見やすい内容になっていると思います。上から目線で「予防しろ」「感染は自業自得」みたいに説教するのではなく、「HIV陽性になってもセックスもできるし、ふつうに生活できるし、友達は友達のままでいられる」というあたたかいメッセージがあったりするところが特によかったです。
参考までに、残りの3つも貼っておきます。
MSM向け↓(英語字幕あり)
トランスジェンダー向け↓(英語字幕あり)
隠れMSM向け↓(英語字幕あり)
チェンマイのMSMにはゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、セックスワーカー、そしてMSMであることを隠している「隠れMSM」(同性愛者も異性愛者も両性愛者も含まれます)などがおり、このアニメーションがHIV予防やスティグマの軽減に役立つことが期待されているとのことです。
これってすごくいい試みだと思うんですよ。アニメーションだからとっつきやすいし、タイ語が話せても読めない移民労働者でも内容がわかると思うんです。ちなみに、日本のメディアみたいにあいまいな表現でお茶をにごさず、「性器にコンドームを装着するところ」「セックス後、正しくコンドームを外すところ」などをきっちり絵で見せているんですよ、このシリーズ。「タチかネコかは関係ありません、予防しましょう」みたいな呼びかけもあり、とにかくわかりやすいんです。
それから、上の方でもちょっと書きましたが、「感染したらおしまい、そうならないためには……」みたいな恫喝的な要素がなく、HIVポジティブの人を励まし、今後どうしたらいいかを冷静に伝えていく姿勢があるところもいいなと思いました。MSM向け作品のラブラブ具合もよかった。チェンマイのMSMのみならず、いろんな人に見て欲しいアニメーションだと思いました。