ミシガン州の15歳ゲイ少年への暴行で少年2人逮捕


先月第3週、米ミシガン州で、ゲイのスティーブン・ハーモンさん(15)に暴行を加えた容疑で15歳と16歳の少年2人が逮捕・起訴された。Adovocate.comが同月21日、カラマズー・ガゼット紙の報道として伝えた。
暴行により、ハーモンさんは、頭蓋骨骨折や顔面が腫れたりあざができるなどの怪我をした。逮捕された少年2人は容疑を認めたため、裁判まで、青少年収容施設に収監された。
ハーモンさんは友達とそのいとこと食事中、少年らが近付いてきて同性愛差別的な言葉を叫んだため、レストランの責任者に相談。少年達にレストランから出て行ってもらうことはできたが、食事後、アパートまであとを追われた。ハーモンさんが逃げようとすると少年らは頭を殴り始めた。友人がハーモンさんを守ろうとしたが、しばらくして現場を離れた。
上記の中で、「友人がハーモンさんを守ろうとしたが、しばらくして現場を離れた」という部分がちょっとわかりづらいんですが、Advocate.comの報道を見る限り、「友人がハーモンさんを襲撃者からかばおうとし、襲撃者たちは逃げた」ということらしいです。ちなみにこの「友人」は17歳の少女。いとこは5歳児です。あと、Lez Get Realの記事によると、事件が起こったミシガン州ポーテージ市は人口約45000人の小さな街で、ハーモンさんは最近カムアウトしたばかりだったようです。

ゲイジャパンニュースの記事内にもありますが、現在、ミシガン州の法律では性的指向に基づく暴力はヘイトクライムとみなされていません。同州ではハーマンさんの一件以外でも、この8月、ゲイ男性が暴力をふるわれるという事件がありましたが、こちらもヘイトクライムとしてはカウントされていません。ちなみにこちらの事件の被害者ショーン・ベネットさんは、公園のピクニックテーブルに座っていたところを後ろから襲われ、砂利を顔面に突っ込まれ、耳にも石を入れられ(病院で出してもらわなければならなかったそうです)、地面に引き倒されて少なくとも12箇所以上タバコか葉巻を押しつけられて火傷を負わされています。ベネットさんは性的指向を理由に6月から近所の男性に脅されており、襲撃犯はその男性だと主張しています。

なお、ミシガン州下院ではこの5月、同州のヘイトクライム法を性的指向ジェンダーアイデンティティおよびジェンダー表現に基づく暴力にも適用させるという法律(Michigan Anti-Bias Crime Statute (MI-ABCs))が可決されており、あとは上院の通過待ちという状態*1らしいです。早く上院でも可決されればいいのにと思います。

日本で*2同性愛者への差別や暴力の話をすると、決まって出てくるのが「私たち異性愛者も意識を変えなければ」みたいな発言です。意識なんてどうでもいいから、社会のシステム(法制度とかね)を整備してください。「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」という標語でドライバーの意識向上を訴えかけてもなかなか減らなかった飲酒運転が、道交法が改正されたとたんにぐんと減ったことを思い出してください。
いや、漠然と「意識を変えなければ」とか言ってる方が楽だというのはわかるんですよ。言うだけならお金も1銭もかからないし、「私は/僕はもう進歩的な意識を持ってるから何もしなくていいよね! うんうん!」ってことになって、結局、何もしなくていいわけですもんね。でもね、それじゃ現実の問題には対処できないんですよ。痴漢の意識を変えましょうと口で言うだけじゃ痴漢は減りません。駅の階段が上れず困っている人の横で「私たちも意識を変えなければ! (でも私はショーガイシャサベツなんてしないから、改めて何かしなくてもいいわよね♪)」と呟いたところで、その人が階段を上れるようになるわけじゃありません。それと同じように、意識や道徳だけの問題に落とし込まれてしまったら、こうしたゲイバッシング事件は減らないとあたしは思っています。
ヘイトクライム法は魔法の万能薬ではないけれど(人種差別関連で、既に『線引きが難しい』『敵対民族への攻撃にヘイトクライム法が利用されてしまう』などという話を聞いたことがあります)(あと、厳罰化しさえすれば万事解決されるというわけでもないとも思いますし)、漠然と意識向上を唱えて終わりにしてしまうよりはるかにマシだとあたしは考えています。

*1:TRIANGLE FOUNDATION - Hate Crimes Legislation Passes Michigan House!

*2:海外在住経験はないので、海外ではどうだか知りません。