豪テレビ局、『Glee』の同性同士のラブシーンを削除

(注意:以下、『Glee』シーズン4の日本未放映分のネタバレを含みます)

オーストラリアのテレビ局「チャンネル10」が、2013年3月12日、人気ドラマ『Glee』の同性同士のラブシーンを削除して放映しました。ちなみに同じ回の異性同士のラブシーンはカットされていません。

詳細は以下。

この改竄がおこなわれたのは、シーズン4第14話。「I Do」というタイトルの、バレンタイン・エピソードの回です。チャンネル10はブレインとカート(男性同士)、そしてサンタナとクイン(女性同士)のセックスシーンをカットする一方で、レイチェルとフィン(異性同士)のセックス場面はそのまま残したとのこと。

消された場面を見てみましょう。まず、カートとブレインのシーン。

サンタナとクインのシーン。

一方、消されなかったレイチェルとフィンの場面はこちら。(ラブシーンは7:00〜)

どれもたいしてハードな描写でもないし(そもそも『Glee』ですしね)、ジェンダーの組み合わせ以外に大きな差はないのでは。

Facebookの、チャンネル10が運営している『Glee』ファンページにはファンたちの苦情が集まっており、今見たところこんな意見がありました。


チャンネル10には、ファンは「これは同性同士のセックスシーンに関係ありませんよ」な物語なんかに騙されないと言いたい。というのは、オーストラリアの友だちは、この局はシーズン3でもカートとブレインの場面をカットしたと言ってたから。ほとんどのヨーロッパ諸国ではGleeは全年齢対象を意味する「A」のレーティングで、例外は英国の「PG」(訳注:『保護者の同伴が望ましい』の意)。でも、あれをカットするのは、シンガポールやその他の民主的でない国だけだ。
I just want to tell to Channel 10 that we don't buy anymore the story that "it's not related to same sex scene", because my Australian friends told me that also in season 3 you cut a scene between Kurt and Blaine. In most European countries, Glee is marked with A for ALL, except England PG but only Singapore and other undemocratic countries have cut it.

こうした抗議に対し、チャンネル10が出した声明はこちら。


GleeはPGの時間枠で放映されています。編集がおこなわれたのは、自傷や性的なことに関する表現があったためです。あの編集は、番組内の同性同士の姿ではなく、性的な表現のレベルに関連したものです」
'Glee is broadcast in a PG time slot. Edits were made due to a self-harm reference and sexual references. These were not related to the same sex nature of the content, but due to the level of the sexual reference.'

だから、フィンとレイチェルの朝チュンはOKなのに、サンタナとクインの朝チュンは「性的な表現のレベルが高い」と判断しちゃうことこそがホモフォビックだって言ってるんですが。

正直言って、ドラマとしての『Glee』はシーズン3から迷走を続け、シーズン4ではさらに評価の低い作品と化していると思います。特にレズビアンネタの扱いは不評で、米国本国でもレズビアンのファンが激減していたりもします。でも、だからと言ってこんな風に切りきざんでいいはずはありません。こんなイスラム圏みたいなあからさまな修正を、まさかオーストラリアで見るとは思いませんでした。がっかり。