CNN、ホモフォビックなツイートをしたコメンテーターを停職処分に


米国のケーブルネットワークCNNが、コメンテーターのローランド・マーティン氏を、2012年のスーパーボウル中にtwitterでホモフォビックな発言をしたとして停職処分にしたそうです。

詳細は以下。

問題のツイートはこんな感じ。


「もしスーパーボウルのパーティーベッカムH&Mの下着コマーシャルに興奮する野郎がいたら、ぶちのめせ!#superbowl」
"If a dude at your Super Bowl party is hyped about David Beckham's H&M underwear ad, smack the ish out of him! #superbowl",
なお、ベッカムの下着コマーシャルというのはこちらです。参考まで。
http://www.youtube.com/watch?v=eQb_-OY7Z0E
他に問題とされているツイートは以下。

「あのニューイングランド・ペイトリオッツのやつはいったい何なんだ、頭からつま先までピンクのスーツだぜ? ああ、こいつにゃ『チーム・あのケツを鞭でぶっ叩け』に来てもらう必要があるな#teamwhipdatass」
"Who the hell was that New England Patriot they just showed in a head to toe pink suit? Oh, he needs a visit from #teamwhipdatass"
いずれも要するに同性愛者と思われる男性への肉体的暴力を示唆するものであり、同性愛者団体GLAADは「CNNにゲイバッシングの擁護者は不要」としてこれを問題視*1。CNNに対してローランド・マーティン氏をクビにするよう求めるオンライン署名では、2012年2月8日の時点で7500人以上が署名した*2そうです。
CNNは、以下の声明を発表しました。

「ローランド・マーティンのツイートは嘆かわしく、侮辱的なものです。人を卑しめることばは、当組織の価値観と文化に相反します。私たちは今回の件について熟考し、当分の間ローランドを放送に登場させないものとしました」
"Roland Martin's tweets were regrettable and offensive. Language that demeans is inconsistent with the values and culture of our organization, and is not tolerated. We have been giving careful consideration to this matter, and Roland will not be appearing on our air for the time being,"

ちなみにこのスーパーボウルの最中、トム・クルーズの養子のコナー・クルーズもまたホモフォビックなツイートをして、結果的に謝罪するはめになっています。コナーのひいきのチームが負けているとツイートしたゲイ男性に対し、「ゲイのケツファッキングなツイートだぜ("That was a gay a** f*****g tweet")」と返したんです、コナーは。スポーツ観戦中、興奮のあまりホモフォビックな文章をtwitterに垂れ流すというのは別にフットボールに限ったことではないらしく、2010年9月にはオーストラリアの競泳金メダリストがそれでスポンサー契約を失っています

twitterは馬鹿発見器というのはよく聞かれるところですが、実はホモフォーブ発見器でもあり、これは洋の東西を問わないみたいですね。日本と違うのは、これらの国には公の場でホモフォビックな発言をしてはならないというコンセンサスが既にあって、発言者は(一応は)責任を取らされるということです。日本だと、こうした発言への怒りや痛みを表明したところで、「弱者様が“特権”を振りかざしている」と嘲笑されたり、「言葉狩りだ」、「黙っていないともっと差別されるぞ(=『黙らないともっと差別してやる』の意)、「そんなことを言ったら世の中が窮屈になる」とか言って叩きまくられて終わりでしょ。企業だってせいぜい「調査中です」とかなんとか言うだけで、責任を取らない。twitterは実は、一国の国民の馬鹿度・ホモフォビア度判定機でもあるんじゃないかとあたしは思っています。