英国でアンチゲイなパンフレットを配布した3人、懲役刑に


英国でアンチゲイなパンフレットを配布した男性3人に有罪判決 - みやきち日記の続報です。同性愛者を死刑にしろと呼びかけるパンフレットを英国ダービー市で配布したイスラム教徒3名に、懲役刑が宣告されたとのことです。

詳細は以下。

この男性たち、すなわちIhjaz Ali、Kabir Ahmed、Razwan Javedの3人は、2010年6月にモスクの外で他の2人の男性とともに問題のパンフレットを配布し、ヘイトクライム容疑で逮捕されました。このパンフレットは同性愛者を死刑にしろと唱えるもので、

  • 「変えろ、さもなくば燃やせ」
  • 「死刑?」
  • 「神はおまえを忌み嫌う」

などのタイトルがつけられており、さらに、首つりにされたマネキンの画像なども載せられていました。

英国では治安法(Public Order Act)1986により、スピーチや文章などで人種的な憎悪を扇動することが禁じられています。そして2010年には、性的指向にもとづく憎悪の扇動もこの治安法の対象とするという改正案が議会を通過しています。今回の件は、この法律でヘイトクライムと認められた最初のケースなのだそうです。

2012年2月10日、ダービー刑事裁判所は、Aliに懲役2年、AhmedとJavedにそれぞれ懲役15ヶ月の刑を言い渡しました。なお、この3人と一緒にパンフレットを配り、同じ容疑で告発されていたMehboob HussainとUmar Javedは、無罪を宣告されています。

BBCによると、John Burgess裁判長は、


「あなたたちは憎悪を扇動しようとしていたことで有罪と判決された。
それはつまり、あなたたちは平和なコミュニティーに大きな害を及ぼそうと意図していたということである。
"You have been convicted of intending to stir up hatred.
"It follows that your intention was to do great harm in a peaceful community.

と語ったとのこと。また裁判長は、表現の自由は「民主主義の要石であり、自由社会の基本的構成要素」であるとしながらも、「この法律(訳注:治安法のこと)を制定するにあたり、議会は明らかにそのことをじゅうぶん考慮していた」と述べたそうです。表現の自由があるからといって、憎悪を扇動してコミュニティーに害を及ぼすことは擁護されないというわけですね。

ヘイトスピーチを法規制すべきかどうかについてはいろいろな議論があると思いますが、それがコミュニティーに害をなすものだとするこの考え方にあたしは強く同意します。ていうか、そもそも同性愛者がコミュニティーの一員であるというあたりまえのことがあたりまえに受け入れられている点だけでも、ちょっとうらやましかったりします。

ゲイ嫌いの方々の頭の中では、自分が日常生活の中で世話になっている人はなぜか全員シスヘテロで、同性愛者はどこか遠くで同性とのセックスにだけ励んでいるモンスターなのかもしれません。でも、現実はそうじゃないんです。あなたの子どもが分数が分からないと泣いて通い始めた塾で一生懸命勉強を教えているのが、レズビアンのあたしだったりするんです。あなたが救急車で運ばれたとき命を救ってくれたお医者さんがゲイだったりもするんです。あなたの差し歯を作った歯科技工士が、実は同性愛者だってこともあります。あなたの自慢のマイホームの建材を作ってるのが同性愛者だってこともあります。あなたが今日食べた野菜は、レズビアンの農業従事者が育てたものかもしれません。みんないちいちあなたに性的指向の話をしないだけで、日々営々と働いてゴハンを食べてるんです。

もちろん、仕事を持たない同性愛者もいれば、犯罪を起こす同性愛者もいます。でも、それは異性愛者だって同じこと。要するに、うちらも社会の一員で、持ちつ持たれつで肩を並べて生きてるわけです。「ゲイを殺せ」と煽るのは、コミュニティーを支えるメンバーの少なくとも5パーセントの人々を自動的に殺せと言ってるのと同じで、そんなことを是とするような憎悪を堂々と扇動する行為を見逃しちゃいけないとあたしは思うんです。