マサチューセッツの女性「同性愛者が不快なので家から出られない」


米国マサチューセッツ州カトリック女性が、同性愛者が不快なので家から外に出られないとブログに書き、物議をかもしています。

詳細は以下。

この女性はStacy Trasancosさん。7人の子を持つ母親で、元化学者。彼女は、

  • 8月16日に地元のプールで2人の男性が「女々しいしぐさで肘と肘をすり合わせている(訳注:原文は"rubbing elbows"となっていて、これは『親しく交際する』という意味もあります)」のを見かけた
  • 地元の公園で2人の女性が「明らかにただの友情とは思えない」やりかたで互いの背中に手をやるのを見かけた

などの経験から、恐ろしくて外に出られなくなったと主張しているのだそうです。以下、彼女がブログに書いたという文章を訳してみます。


いったい何に遭遇するだろうかと心配で、もう家から出ることすらできなくなっている自分に気づきました。
私たちはちゃんとした市民です。規則に従って生活し、税金を払い、さまざまなことを責任持って引き受けています。私は自分のコミュニティーで起こっていることに影響を及ぼせることになっていますし、有権者としてその権利を行使しています。
それなのに私は数で圧倒されているのです。黙って座って、不道徳を大目に見ることなしには、ノーマルな場所に出かけて行くことさえできないのです。
2人の男性や2人の女性に私や子どもの真ん前で公然と見せびらかすことをやめてほしいと頼んだらどうなるかは誰だってわかっています。あの人たちはソドミーの住人なんです。
“I find myself unable to even leave the house anymore without worrying about what in tarnation we are going to encounter.
“We are responsible citizens. We live by the rules, we pay our taxes, we take care of our things. I’m supposed to be able to influence what goes on in my community, and as a voter I do exercise that right.
“But I’m outnumbered. I can’t even go to normal places without having to sit silently and tolerate immorality.
“We all know what would happen if I asked two men or two women to stop displaying, right in front of me and my children, that they live in sodomy.”

それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?」というフレーズがここまでリアルに脳裏に浮かんだのは初めてです。百歩譲ってギャグではなく大真面目に言っているのだとしたら、この女性はまず、医療機関を受診した方がいいと思います。

一応いくつか反論しておくなら、こうですね。

  • 恋人同士で肘をすり合わせたり(または、親しく交際したり)背中に手をやったりことは別に法に触れないし、わいせつな行為でもありません。
  • 第一、私たち同性愛者は、異性愛者が公の場所でいかにもヘテロらしいしぐさでいちゃいちゃすることを「黙って座って、大目に見て」あげてるんですけど。
  • 「私たちはちゃんとした市民です。規則に従って生活し、税金を払い、さまざまなことを責任持って引き受けています。私は自分のコミュニティーで起こっていることに影響を及ぼせることになっていますし、有権者としてその権利を行使しています」同性愛者もまったく同じなんですが、わかっていらっしゃらないようですね。
  • 「それなのに私は数で圧倒されているのです」あなたがハッテンバのど真ん中にでも住んでいない限り、数で圧倒されているのはLGBTの方です。
  • 「ノーマルな場所」が意味不明です。「ノーマル=ヘテロ」の意味で言っているのだとしても、いつからプールや公園が異性愛者専用施設になったんですか。
  • 「公然と見せびらかすことをやめてほしいと頼んだらどうなるか」って、単に恋人同士で肘や背中に触れる程度のことをわいせつ扱いするあなたの脳の方がわいせつです。
  • ソドミーは「男色」の意味で、レズビアンとは無関係です。

それにしても、「同性愛者は不快な存在。だから、お前らは人目につくところに出てくるな」という発言はこれまでうんざりするほど見かけましたが、「同性愛者は不快な存在。だから、私は家から出られない(どうしてくれるんだ!)」というパターンは初めて見ましたね。このままでも別に他のヘテロも、同性愛者もひとつも困らないし、永遠にそのままひきこもっていらっしゃればよろしいのでは。それがつらいというなら、前述のように病院で治療を受ければ済む話です。

なおTrasancosさんによると、この記事をブログにupして以来、Trasancos一家には誘拐してやる、レイプしてやる、殺してやるなどの脅迫が舞い込んでいるそうです。あまりの偏見に腹が立つのはわかるけど、それはやってはいけないことでしょう。基本的には治療と教育が必要な、気の毒な人なんでしょうし。

最後に、元記事コメント欄のこの卓見を紹介しておきます。


このことがいちおう報道価値があると思われているのに、ホモフォビックかつ/またはトランスフォビックな虐待を恐れて家から出られないすべてのLGBTについてはめったに報道価値があると思われないことに注目すべき。
Note how this is supposedly newsworthy but all the LGBT people who are housebound due to fear of homophobic and/or transphobic abuse is all too rarely…

ほんとほんと。受けてる被害のレベルが違うわ。単に自分と違う性的指向カップル(らしき人々)を街で見かけたぐらいでここまで被害者ヅラできるだなんて、ほんとに異性愛者様の特権ってすごいんだなあと思います。

単語・語句など

単語・語句 意味
tarnation (in 〜;疑問視を強調)
by the rules 規則に従って