「人は50ミリ秒で男性の性的指向を見分ける」米タフツ大学研究で

米国タフツ大学で行われた研究で、「男性の顔を見て同性愛者か異性愛者かを見分けるには50ミリ秒必要」という結果が出たというニュース。

とは言え、これは50ミリ秒あれば百発百中で見分けられるという意味ではなく、50ミリ秒あれば当て推量以上の確率で見分けられるという意味ですよ。念のため。なお、この研究論文は以下で読むことができます。

この研究で使われた手法は、ネットの出会いサイトからダウンロードした男性の写真を計90人の被験者に見せ、写真の人物が同性愛者か異性愛者か判断してもらうというもの。写真は性的指向を明らかにしている人のものを使い、サイズを同一にそろえ、色はモノクロにし、さらに顔だけ切り抜いたものを使ったそうです。被験者たちに計90枚の写真(うち半数が同性愛者男性、残りが異性愛者男性の写真)を見せ、写真を見せる時間(33ミリ秒、50ミリ秒、100ミリ秒、6500ミリ秒、10000ミリ秒、自分のペースで見る、の6パターン)の違いによって判断に違いが出るかどうか調べたところ、以下の結果が得られたとのこと。

写真を見る秒数 正答率
33ミリ秒 50%
50ミリ秒 57%
100ミリ秒 62%
6500ミリ秒 58%
10000ミリ秒 60%
自分のペースで見る 62%

ちなみにゲイ人口はヘテロ人口より少ないため、被験者には人の性的指向ヘテロセクシュアルと判断してしまいやすいというバイアスがあるんだとか。そのバイアスを補正すると、上記の数字は以下のように変わるんだそうです。

写真を見る秒数 正答率
33ミリ秒 49%
50ミリ秒 62%
100ミリ秒 69%
6500ミリ秒 64%
10000ミリ秒 67%
自分のペースで見る 70%

まったくの当て推量で答えても確率2分の1であることを考えると、結局50ミリ秒を超えるとある程度「ゲイダー」が作動するということみたいです。
ちなみにこの研究では、フェイスブックの写真でも似たような実験が行われ、同様の結果が再現されています。こちらの実験では「写真の人物の髪の毛をフォトショップで切り取る」という操作が加えられているものの、やはり50ミリ秒で当て推量以上の正答率が得られたとのことです。

面白い実験ですね。もしこの「ゲイダー」が女性同性愛者に対しても有効なら、あたしも50ミリ秒でレズビアンだと見抜かれちゃうのかしら。まあ怖い。とは言え、日本ではおそらく米国よりも「人を見たらヘテロと思え」というバイアスが強いし、たぶん大丈夫だとは思うんですけどね。

単語・語句など

単語・語句 意味
alteration 改変、変化、変更
retain 保持する、保つ、持ち続ける
crop はさみ取る、切り取る
operative 効果をもたらす、影響を及ぼす
replicate 繰り返す、再現する
contingent …を条件としての
delineate …を詳細[明確]に描写する