「カマ野郎が俺の命を救ってくれたかも」:同性愛者への“軽蔑語”使用で82歳復員軍人が解雇される
米国JFK空港で働く82歳の職員が、2011年2月、同性愛者への中傷発言をしたとして解雇されたそうです。しかしながら文脈には中傷の意はなく、実際にはむしろ同性愛者の権利を守ろうとしての発言だったとのこと。
詳細は以下。
この職員Freddy Schmitt氏は復員軍人で、アメリカン航空で54年間働いてきたとのこと。職場で"Don't Ask Don't Tell"について雑談していたとき、彼は同性愛者が軍務につく権利を守ろうとして、以下のように発言したのだそうです。
「あの頃に、カマ野郎が俺の命を救ってくれたかもしれないぜ」
"Back then, a faggot coulda saved my life"
この"faggot(カマ野郎)"という軽蔑語が問題視され、Schmitt氏はまず停職処分となり、2度の聴聞会を経て解雇されてしまったとのこと。氏のこれまでの勤務記録には特に問題はなく、同僚数名もSchmitt氏を擁護する発言をしているそうですが、経営陣はSchmitt氏を復職させるとは言っていないそうです。
なお、Schmitt氏は解雇されても年金こそ失わないものの、医療保障給付と旅行特典はなくなってしまうそうです。氏は調停を通してこの解雇に抗議する予定だのことですが、組合職員によると、それには数ヵ月かかるだろうとのこと。
あたしも同性愛者の一人ですが、元軍人のおじいちゃんのこの発言には腹が立つどころかむしろ嬉しいですよ*1。機械的に単語だけを問題視して、その結果として同性愛者の権利を支持する人を解雇してしまうようでは、本末転倒だと思います。まるでフェイスブックのゲイ小説ファンページ削除事件と同じぐらい、本末転倒。なんとかSchmittさんの復職が認められるといいんですけど。
単語・語句など
単語・語句 | 意味 |
---|---|
bull session | とりとめのない会話、雑談 |
termination | 解雇 |
*1:もちろん、どんな文脈であれこの語を使われるのは嫌だという人もいるでしょうし、その気持ちは尊重したいと思います。でも、この語の使用がゲイの権利を守ろうとした82歳の老人から医療保障給付を取り上げるほどの大罪かというと、それは違うと思います。