エジプト外交官、同性愛者は「実在しない人間」であると示唆


2012年6月21日、ジュネーヴ国際連合人権理事会で、エジプトの外交代表が、同性愛者を保護する必要はなく、中東では同性愛者は「実在しない人間」であるとする発言をしたそうです。

詳細は以下。

エジプトのリベラル派ニュースサイトBikya Masrの情報によると、この発言はOmar Shalaby氏によるもの。氏は以下のように述べたのだそうです。


「最後に、非常に議論の余地が多い性的指向という考えに関して言うと、それは一般的に認識されている人権には含まれないと繰り返すことしかできません。
“Finally, concerning the highly controversial notion of sexual orientation, we can only reiterate that it is not part of the universally recognized human rights.”


「Kiai氏(平和的集会・結社の自由への権利に関する特別報告官)が、彼の重要な仕事の信頼性と正当性をそこなうことがないよう求めます。氏の仕事の信頼性と正当性を現に必要としている実在の人間の観点から、特に、中東のようにそのような概念がキリスト教イスラム教の両方の住民から拒否される地域の人間の観点からそのように求めます」
“We call on Mr Kiai [UN Special Rapporteur on freedom of peaceful assembly and association] not to undermine the credibility and legitimacy of his important work in the eyes of real people who actually need it, especially in regions where such concepts are rejected by both its Christian and Muslim inhabitants like the Middle East.”

「実在の」て。宗教上の理由で同性愛を拒否する人たちだけが「実在の」人間なんですかい。それじゃ、キリスト教圏やイスラム教圏で撃ち殺されたり拷問されたり処刑されたりしている同性愛者は全部、非実在の存在なんですかい。流れた血も苦痛の叫びも全部幻覚だとでも言うんですかい。

でも、日本人でも、同性愛なんて自分とは無関係な遠い世界のできごとだと決め込んで、ものすごい勢いで現実を否認または矮小化する人っていますよねえ。根は一緒だと思うんです、これ。Pinknewsのコメント欄のこちらの意見に、深くうなずきました。

何らかの理由で現状への脅威となる人やグループはすべて、「実在しない人間」とみなされ得る。従順で余計なことをせず、疑問を抱かない羊の群れを従えている人たちにとっては、そうする方がよっぽど楽なんだ。
Anyone, or any group who in any way threatens the status quo may be considered “not real people”. So much easier when you have a flock of compliant, non boat rocking, unquestioning sheep.

別に同性愛者だけでなく、そして中東だけでもなく、踏んづけられている立場の人はいつでもどこでも「実在しない人間」扱いされていると思います。無視した方が楽だからです。なお国連人権理事会は、PinkNews.co.ukに対し、エジプト代表のこのコメントは断じて理事会全体の支持を得ているものと解釈すべきではないと述べているとのことです。