オーストラリアの小学校、フォークソングから「ゲイ」という言葉を削除

オーストラリアのCheltenham's Lepage Primaryという小学校が、古いフォークソングの歌詞の「ゲイ」という語を他の言葉に置き換えて教え、議論を呼んでいるそうです。

詳細は以下。

これは子供向けの“Kookaburra Sits in the Old Gum Tree.”(『ワライカセミは古いゴムの木にとまる』)という歌。ちょっと調べてみたところ、オーストラリアの子供なら誰でも知っている歌らしいです。この動画のように、子供の合唱曲としても使われるみたい。

合唱曲じゃないバージョンはこちら。

ヘラルド・サン紙によると、この学校では歌詞の“gay your life must be”(『いきているって たのしいよね』*1)という部分が、“fun your life must be”に置き換えて教えられていたとのこと。Garry Martin校長は、古いテープを使用して1年生にこの歌を教えており、歌詞を変えた理由についてこう語っています。


「歌詞でゲイという語が使われており、私は子供達に『現在ではこれは違った意味になり得るから、fun old timeと歌いましょう』と提案しただけです」と彼は言った。「置き換えは私の判断で行いました。私が過敏だったのだと思います」
"It uses gay and I just suggested to kids, 'Nowadays that can mean different things, so let's just sing a fun old time'," he said. "It was my decision to replace it. I guess that was hypersensitive of me."

確かに現代英語では"gay"と言えば即「同性愛者(の)」のこと。昔は「陽気な、楽しい」などの意もありましたが、辞書には<<やや古>>と記されています。でも、現代語と意味が違うというのなら、何故違うかやどう違うかを教えるのが学校教育ってものではないんでしょうか。

またsmc.com.auによると、同校長は「1ヶ月前、"gay your life must be"の部分を聞かせたところ、クラス中にくすくす笑いが起こった」「ゲイという語をいじめに使う生徒もいる」「それでいて、生徒たちはゲイという語の意味がよくわかっておらず、スポーツが苦手な男子をゲイと呼んでいたりする」(以上要約)とも言っているとのこと。

子供たちの間に偏見や無知がはびこっているのならなおのこと、この単語の新旧2種類の意味を教え、「ゲイ」を嘲笑やいじめの対象とするのはやめるように指導すればよかったのに。「いじめに使われる言葉だから置き換える」「子供達が笑うから置き換える」というのは単なる事なかれ主義だし、結果として「ゲイという言葉は忌避すべきもの」と子供たちにほのめかすことになってしまったのでは。

SheWired.comのツッコミが皮肉で良かったです。


次は何? フリントストーンのテーマ曲の"Have a gay old time..." を"fun"に置き換えるの?
What's next? Are we going to replace The Flintstones' theme "Have a gay old time..." with fun?

単語・語句など

単語・語句 意味
kookaburra ワライカセミ(豪州産)
hypersensitive 過敏な
in fits of laughter 笑い転げて、抱腹絶倒して

*1:訳詞は[音乐•ABC] 羽生未来 - Kookaburra 歌詞から引用させていただきました。