インドネシアの警察、ILGAの会議に中止命令

2010年3月23日、インドネシア・スラバヤの警察が、ILGA(『国際レズビアン・ゲイ協会』。世界各地のLGBTIの平等な権利獲得や差別撤廃を求める国際的団体)が同地で予定していた会議に中止命令を出したというニュース。

この会議は今週末3日間にわたって行われる予定で、アジアの計16ヶ国から150人以上のアクティヴィストが参加するはずだったとのこと。

なお、警察が中止命令を出した理由は、この会議が「保守的なイスラム教団体による暴力的な抗議を引き起こしうるから」なんだそうです。既にイスラム教団体や、イスラム聖職者協会から、この会議に反対の意を表明しているとのこと。

でも、だからと言ってこの禁止命令の狙いは、イスラム教団体の暴力から会議参加者を守ることにあるというわけでもないみたい。以下、警察のスポークスマンSulistyo Ishak准将の弁をごらんください。


「この集まりは社会的危機を誘発し、公の不安を引き起こす徴候があります」とIshakは語った。「この禁止命令は、公共の秩序を保つために出されました」
"There are indications that the event could trigger a social crisis and cause public unrest," Ishak said. "This ban was issued for the sake of public order."

おまえらが会議を開くと騒ぎになって「公共の秩序」が乱れるから中止しとけ、ってことですよね、要するに。別に会議参加者の安全を慮っているわけではないわけです。

これに対し、会議のオーガナイザーPoedjiati Tanさんは、この会議は同性愛者が直面している社会問題への注意を喚起するものであると主張。警察や宗教指導者に抗議する、とのことです。

ちなみにハンガリーでは、同じように性的少数者の集まりが暴力的な抗議にさらされる中、警察が超厳重な警戒態勢を敷いて「同性愛者の尊厳」デモ行進を守ったという例*1があったりします。ネオナチや右翼過激派が火炎瓶や石を投げ込む中、アンチゲイな抗議者が近寄れないようにデモのルートを防護柵で固めたり、交差点やデモ隊の中などに機動隊員を配置したりして、徹底的にデモ参加者を守ったんですよ、ハンガリーは。

そもそも性的少数者が「暴力的な抗議」にさらされるような立場におかれているからこそ、このような会議やデモ行進の必要があるんだと思います。そこで、「暴力的な抗議」が起こるから活動やめれ、とつぶしにかかるのは本末転倒では。スラバヤ警察の今回の判断は、あたしは支持しませんね。

単語・語句など

単語・語句 意味
Ulema Council イスラム聖職者協会
Brig. Gen. Brigadier general, 准将