劇団四季版『オペラ座の怪人』感想

12月5日(土)に見てきた第4992回(だっけ?)公演の感想を、箇条書きで。

  • 映画版と比べると、オチは劇場版の圧勝。あまりにも鮮やかな幕引きに、息をのみました。
    • 舞台で見てから映画版を見直すと、説明過多で感傷的すぎると思うぐらい。
    • ていうか舞台版を見て初めて、この作品のポスターのモチーフがなんでアレなのかわかりました。切ないー。
  • 空間の使い方がすごかった!
    • あんな限られた空間で、オペラ座屋上から地下ダンジョンまでの広がりを縦横無尽に表現してみせるところにワクワクさせられました。あの階段の使い方とか、劇中劇での観客席の見せ方とか、目からウロコの連続。舞台劇って、智恵とひらめきの宝庫だなあ。
    • 無知なあたしはシャンデリアは垂直に上がってくもんだと思ってたんですが、違うんですね。客席の上の空間まで使うとは。もう、目が釘付け。
      • でも、シャンデリアの落下速度はちょっと遅すぎるのでは?
      • 帰宅してから、買うだけ買って見てなかった映画版特典映像を見たら、リチャード・スティルゴーが「世界中の公演を見たが あの速度で国民性がわかるね」と語っていて、なるほどと思いました。ちなみにオーストラリアでは、シャンデリアは時速150キロで落ちてきて頭上ギリギリで止まり、大迫力だったそうです。
  • 無駄のない構成も楽しかったです。
    • 映画の懇切丁寧な見せ方も面白いんだけど、舞台の観客を突き放すような思い切りのよさも好き。
    • あ、ただ、墓地でのファントムVSラウルは、舞台版はちょっとしょぼかったかも。あの火がねー、怖くないんだよね。
  • 衣装と美術がひたすら壮観。
    • 生で見られてよかった!
  • ファントムの側に、つまり芸術と狂気の側に傾いていくクリスティーヌと、その狂気を払うラウルという図が明解で面白かったです。オペラ座屋上でクリスティーヌのフードを外す場面なんかがその代表。映画だとバラの花を使って表現されてたとこね。
  • ゴシックロマンスらしい不吉さの演出もよかった。「第3幕のバレエをお楽しみください!」のバレエ場面で、バレリーナたちの後ろにファントムの影が映るところとか。
  • でも、歌は映画版の方がよかったです。
    • 劇団四季版は歌詞が聴き取りにくく(オペラ調でしかも肉声なので、ある程度は仕方ないかもですが)、訳詞もいまひとつ。『マンマ・ミーア!』のときとえらい違い。
      • The Point Of No Returnの出だしの部分が「もう〜生やして〜ない〜♪」としか聞こえず、何を生やしてないの? 髭? ○○○? と困惑。曲の後半ぐらいでやっと「も〜はや退け〜ない〜♪」だと気づきましたが、そこまでは本気で悩みました。
      • Think Of Meも、"Think of me"と"Remember me"で脚韻を踏むところの美しさが、訳詞だとあんまり出てなかったような気が。
      • ファントムからの手紙を手に複数が掛け合いで歌うところとかも、よく聞き取れなくて困りました。ああいうものなの?
      • ファントムの声が第一幕で割れてたところも気になりました。ああいう演出……じゃないよね?

簡単にまとめると「歌だけは今ひとつな部分もあったけど、それ以外は『見てよかった』のひとこと」でしょうか。いやあ堪能した。