ルパート・エヴェレット「ゲイの俳優はクロゼットにとどまるべき」
同性愛者の俳優ルパート・エヴェレットが、ゲイの俳優が成功するためには性的指向を隠した方がいいと発言したというニュース。
『マイ・ベスト・フレンズ・ウエディング』などで有名なルパート・エヴェレットですが、1989年にカミングアウトしてからは俳優としてのキャリアにかげりが差しているとのこと。彼は英国の日曜紙「オブザーバー」に対し、
と発言し、英国でも米国でもそしてイタリアでも、25歳のゲイ俳優が映画界で成功するのは難しいと述べたそうです。
「どんな俳優に対しても、もし彼が本当にキャリアのことを考えているのなら、必ずしもカムアウトは勧めない。
"I would not advise any actor necessarily, if he was really thinking of his career, to come out.
実際、誰が同意しなかろうとかまわないが、ゲイでは成功しないんだ」
the fact of the matter is, and I don't care who disagrees, it doesn't work if you're gay."
という彼の意見はかなり強烈で、賛否両論を呼びそう。
Pink Newsのコメント欄では、「お前に才能がないのが悪い(要約)」とか、「イアン・マッケランは/ニール・パトリック・ハリスはカムアウト後も成功してるぞ(要約)」とか、批判的な意見が多く見受けられます。あたしがなるほどと思ったのは、「ルパート・エヴェレットは1997年の『マイ・ベスト・フレンズ・ウエディング』でオープンリー・ゲイとしてオープンリー・ゲイの役をやって大当たりした。でもその後、最低の映画『2番目に大切なこと』で同じようなゲイ役を演じてコケた。ゲイだからうまくいかないというより、仕事を選ぶ目がないんじゃないの(要約)」という意見。これは確かに筋が通ってるわ。
でも、だからと言ってルパートの意見にはまったく理がないかと言ったら、そうでもないと思うんですよね。だって、ストレートの役者にゲイ役は回ってくるけど(そして『気持ち悪かったけど頑張りました』とか言って笑ってればいいだけだけど)、ゲイの役者はカミングアウトしたとたん、ヘテロヘテロした役は回って来にくくならない? ルパート・エヴェレットだって、『真夏の夜の夢』のオーベロン(インドの小姓(♂)にご執心の妖精王)やら『シュレック2』のチャーミング王子(女とうまくいきそうもないナルシスト王子)やらの役ばかりやってますしね。たとえカムアウトしなくても、ジョディ・フォスターなんか、真正面から男女の愛を描く映画にはひとつも出なくなって、「戦う母親」系統の役ばかり演じています。結局、非ヘテロなイメージがキャリアの幅を狭める可能性は、やはり否定しきれないのでは。
役者がカムアウトするかしないかの選択を迫られるのではなく、クロゼット自体がぶち壊されてしまえば一番いいとは思うんですけどね。別に連続殺人鬼ではないアンソニー・ホプキンスがレクター博士を演じていいのと同じく、どんなセクシュアリティの役者がどんな役を演じたっていいという当たり前のことが早く認められてほしいと思います。
単語・語句など
単語・語句 | 意味 |
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high-profile | 注目を集めている、脚光を浴びている |
necessarily | 必ずしも、あながち |
the fact is that SV | 実は…である |