トップレベルドメイン「.gay」実現なるか? 新ドメイン成立を目指し、複数の団体が運動中

インターネット上のアドレスには、トップレベルドメインというものがあります。URL末尾の「.com」「.net」「.org」などがそれです。上記は、The Dot Gay Allianceという団体が、LGBT向けの「.gay」というトップレベルドメインを新たに作るよう働きかけているというニュース。

The Dot Gay Allianceは同性愛者の権利団体、個人、企業などによって支えられている団体であり、2010年にトップレベルドメイン「.gay」をICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers、アイキャン/インターネットのIPアドレスドメイン名を調整・管理する民間非営利法人)に申請する予定だそうです。

同団体は、ドメインから得られる利益の過半数を世界中のLGBTコミュニティに還元し、このドメインを「真のコミュニティ・ドメイン」とする計画があると言っています。なお、このようにドメインから得られる利益を特定の目的に使うというビジネスモデルには、ドメイン「.eco」の収益の51パーセントを環境保護活動に役立てているDot Ecoなどの前例があるということです。

これ、実現したら面白いとは思うんですが、アドレスだけでホモフォビックなクラッカーの攻撃対象にされる可能性もありそうですね。あと、またしてもゲイが自動的にLGBT代表になってしまうところにも、少しだけもやもや感が残らんでもないです。ちなみにPink Newsのこちらのニュースによると、他にDotGay(The Dot Gay Allianceとは別物)という団体も「.gay」ドメインの実現を目指しているとのことですが、こちらの団体のWebサイトには、はっきりこう書かれています。


なぜ「.gay」というトップレベルドメインなのですか。利益を得るのは誰ですか。

ゲイ・コミュニティが利益を得ます。アメリカ合衆国内のおよそ1500万人、そして世界では何億人もの人が、ゲイ・コミュニティに属しています。何百万ものWebサイトが、ゲイ・コミュニティをターゲットにしています。管理の行き届いた「.gay」というトップレベルドメインは、ゲイのエンドユーザと、そのようなユーザにアクセスしてほしい人を結びつける手助けとなります。

Why a .gay TLD, who benefits from it?
The gay community will benefit. The gay community has roughly 15 million members in the United States and tens of millions world wide. Millions of internet websites are targeted on the gay community. A well managed top level domain .gay will help to connect the gay end user and those who try to reach out to him.

そんなわけでこちらの団体の想定する「.gay」ドメインだと、いっそすがすがしいほどゲイ男性だけが対象とされている(人称代名詞が"him"なところを見ると、レズビアンはゲイの範疇に入れてもらってないみたい)模様。それはそれで別にいいとは思うんですよ、ゲイ男性が頑張ってゲイ男性のための利益を追求するのは当前のことですしね。ただ、せめて「LGBTコミュニティ」への還元をうたうThe Dot Gay Allianceの方はドメイン「.lgbt」とか「.queer」を目指すとかいうわけにはいかなかったんだろうか、と思います。そんなこんなで、もし「.gay」というドメインが取得可能になっても、果たしてそれが「ゲイ男性(だけの)コミュニティ向け」なのか「LGBT向け」なのか傍目にはよくわからなそうですし、少なくともうちのサイトはこのドメインを使うことはないだろうな、と思いました。

単語・語句 意味
implementation 実行、実施
philanthropic 博愛(主義)の、慈善(事業)の、同胞愛の、人道主義
high-profile 注目を集めている、脚光を浴びている
giveback 払戻金、返されるもの、割り戻し、還付金