LGBTが市場として注目される時、当のLGBTはどうすべきか

以下、2007年3月18日のエントリ「日本の同性愛者は人口比4パーセント(推定値)、LGBT市場は年間6兆6000億円」の続きです。id:Ry0TAさんからリクエストをいただきましたので(ありがとうございます)、きのううちの掲示板に書いたことをまとめてこちらにアップしておきますね。

LGBTが市場として注目される時、当のLGBTはどうすべきか

当事者としてはやっぱり、利用されるだけで終わらないことが肝心でしょうね。お金とはパワーであり、お金を使うということは一番簡単な意思表示ですから、それを使って戦略的にLGBTの存在をアピールしていくことが大事だと思います。もっと言ってしまえば、「金を落として欲しけりゃ、こういうとこを改めろオラオラ」と差別的な企業の横っ面を札ビラではたくぐらいのスタンスでいるのがいいんじゃないでしょうか。

投資や商品選択で力を行使すること

たとえばアメリカのLGBT市場にはゲイが運営する投資信託会社というのがあり、そこの運営ポリシーは「ゲイ差別をしている企業には投資しない」というものなんだそうです。そうなると、少しでも多くの投資を受けたい企業側としては嫌でも差別をやめなくてはならなくなるわけで、これはたいへんよい試みだと思います。
もっと簡単にできることとしては、不買運動がありますね。積極的に不買キャンペーンをするところまでいかなくても、「どうせ同じような商品から選ぶなら、LGBTフレンドリーな会社のものを買おう」と考えて選ぶようにするという手もあります。アメリカのLGBT市場なんて70兆円を越えていますから、それだけの経済力にそっぽを向かれるというのは、企業にとっては怖いことだと思います。日本だって、アメリカほどではないにせよ、LGBTは実に6兆6000億円もの――国内酒類市場と同額の――経済力を握っているわけですから、これは決して無視できないんではないでしょうか。
最近は、日本の企業であっても「今どき人種差別や女性差別をおおっぴらに公言したら企業イメージにとってマイナス、ひいては業績にもマイナス」という程度の認識はあると思うんですよ。それと同じように、「性的少数者を差別したら結局損だ」という認識ができあがっていってくれると嬉しいですね。LGBT市場が活性化することで、なんとかそういう方向にもっていけるといいなと思います。

セクマイの側からニーズを発信していくこと

あとは、LGBTの側から、自分達がどんなライフスタイルを持っていて、どういう商品を欲しているのかわかってもらおうとする努力も必要かも。
性的少数者は決して新宿二丁目で女装して酒ついでる人だけじゃなく(むろんそういう人もいて当然なんですけど。そのあたりは、『異性愛者にだって飲み屋で接客業をする人はいるが、異性愛者全員がそういう形態で働いているわけじゃない』というのと同じですね)、ましてやひたすらハッテン場でセックスしてるだけの存在でもないってことがうまく伝わらないと、まともな商品なんて出てきそうもありませんからね。

何か勘違いした商品展開ばかりされて、「なーんだ、LGBT市場なんて儲からないじゃん」と思われたらそれでおしまいですから、そのへんはこちらも積極的にニーズを伝えていく必要があると思います。うまく需要と供給が噛みあって、「セクマイ向けの商品や広告があって当たり前」「ていうかセクマイ自体、いるのが当たり前」って感じになってくれるといいなあと思っています。

まとめ

LGBT市場が注目されるとき、当のLGBTは、

  • 投資や商品選択などで戦略的に意思表示をしていく
  • 積極的にニーズを発信する

という行動をとることが必要だと思います。ひいてはそれが、「セクマイ向けの商品や広告があって当たり前」「ていうかセクマイ自体、いるのが当たり前」という共通認識の形成にもつながっていくのではないかとあたしは考えています。