Les raisons qu'il m'a donnees ne tiennent pas debout. (※本当はdonneesにアクサンが付くよ) - 川原泉と同性愛(その2)
※1度upした後でタイトル↑変更しました(2006-08-20, 9:26am)。タイトルの意味は、脚注の*1のところにある通りです。
- pêle-mêle - 恋愛フォビア http://d.hatena.ne.jp/yskszk/20060819#p4
上記エントリ中の、他人の痛みは100年でも我慢できる - 川原泉と同性愛に対する言及部分に少し反応してみます。
1. コノタシオン(内包)と「過度の一般化」を一緒にしないでください。
デノタシオンとコノタシオンですか。はいはい、外延と内包ですね。しかしid:yskszk氏は、「コノタシオン」(または『内包』の意味も間違えて認識していらっしゃるようです。
えーと、言語にはデノタシオンだけではなく、コノタシオンがあり、日常的なコミュニケーションにおいてはコノタシオンのほうが重要になるのは知っていますよね、miyakichiさん。蛇をどれだけ辞書・事典的に厳密に定義しようが、それによって蛇に対する恐怖が減らないのと同じく、「辞書にそのような意味はない」のを理由に、「性的マイノリティーは『引かせる』存在ではない」と説明しても説得力は持たないでしょう。まあ、オレが英語を苦手とするのは微塵も疑う余地のない事実で、だからこそ英語よりは規則的で覚えやすいフランス語を愛するようになったのですが。
コノタシオン(内包)とは何か
わかりやすいところで、新明解国語辞典からも引用しておきましょうか。
外延と内包
ある概念を類と見たとき、その類に含まれる種のすべてを外延(Extension)、その種に共通な性質を内包(Intension)という。種をすべて示すことを外延的説明、共通な性質を示すことを内包的説明という。例) 集合 A は {1, 3, 5, 7, 9} からなる。(外延的説明)
例) 集合 A は 10 以下の奇数である。(内包的説明)これらを定義にも使える。
例) A とは、{1, 3, 5, 7, 9} を要素とする集合である。(外延的定義)
例) A は、10 以下の奇数からなる集合である。(内包的定義)
ないほう【内包】
2 [哲学で]一概念に含まれる属性。例、「魚」という概念の内包は、「水中にすむ・ひれによって進む・卵生」などの性質
「内包」と「過度の一般化」は別物
{1, 3, 5, 7, 9}は確かに「10以下の奇数」だと言えます。また、魚が「水中にすむ・ひれによって進む・卵生」というのも、魚の「共通な性質」です。こういうのが「内包」なんじゃないんですか? id:yskszk氏の「マイノリティとは人を引かせるものだ」という定義づけは、単なる個人的な印象を過度に一般化しようとしているに過ぎません。
2. そもそも、「『引かせる』存在ではない」なんて一言も言ってません。
英語のみならず日本語も苦手な方だったようですね*1。あたしの前回のエントリのこのあたり↓の部分をもう一度よくお読みになってください。
蛇をどれだけ辞書・事典的に厳密に定義しようが、それによって蛇に対する恐怖が減らないのと同じく、「辞書にそのような意味はない」のを理由に、「性的マイノリティーは『引かせる』存在ではない」と説明しても説得力は持たないでしょう。
あたしはここで、「性的マイノリティーは『引かせる』存在ではない」なんて話はまったくしていませんよ。「id:yskszk氏のように引く人は引くだろうし、それは個人の自由である。また、そのような偏見を持ってしまう異性愛者がいるというのが現実である」という意味のことをあたしは書いたつもりです。
id:yskszk氏が少数者と接するたびにいちいち「引いて」しまうのはご自由ですが、「引いてしまう相手をマイノリティーと呼ぶ」などという発想は滑稽でしかありません。
(引用者により中略)
「真面目な人には裏がある」は、確かに「同性愛者に偏見を持ってしまう異性愛者」の姿をありありと正確に描き出すことには成功しています。そこが悪いなんて思いません、だって現実だってあんなもんですしね。
3. 結論
id:yskszk氏が少数者に対してどのような個人的印象を抱こうとそれは自由ですが、その印象を過度に一般化しようとされるのはおやめになったほうがよろしいかと考えます。「引く人もいるし、引かない人もいる」というのが正確な現実だからです。
追記(2006-08-27)
よく考えたら、こんなにグダグダ説明せずに、数学の「命題と逆」の話をすればよかった。
- ある命題が真でも、その逆も真であるとは限らない。
- 例:「xが4の倍数であるならば、xは2の倍数である」は真だが、その逆「xが2の倍数であるならば、xは4の倍数である」は偽
- この一件もそれと同じである。
おっと日本語で書いてもダメか、では、ここでも氏のお好きらしいロマンス語圏の言葉*2で念押ししておきましょう。La reciproca no es siempre verdadera. ?Entendido? Ya no tengo nada mas que decir.