『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』(山田ズーニー、PHP新書)

伝わる・揺さぶる!文章を書く
伝わる・揺さぶる!文章を書く山田 ズーニー

おすすめ平均
starsやさしさに満ちた実践小論文の手ほどき
stars相手を動かす文章を書くための心構え
starsメールが書けない人に
stars出会えてよかった
stars揺さぶる×3

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まずこの本を読んだ自分自身が、山田ズーニーさんの文章に魂を揺さぶられました。世に文章術の本は数あれど、ここまで「自分の頭で一生懸命ものを考える」ことの大切さを熱く訴えかけてくる本があったでしょうか。いやない。ズーニーさん自らが真摯に考えて考えて考えぬいたメッセージが、この本には詰まっています。この本自体が、まさしく、「伝わる・揺さぶる!」文章のお手本なのです。
「考えることの大切さを訴える本」というと、曖昧な精神論を振り回す文章読本かと誤解されそうですが、まったく違います。この本はあくまで合理的に、「機能する文章」「結果を出す文章」の書き方を説いています。小論文、志望動機、謝罪文、メールの文等々、実用的な書き方アドバイスも豊富で、そのためだけに買ってもとても役に立つはずです。けれどもこの本がすごいのは、それらのアドバイスが全て、徹底して「自分の意志を書き表わすことによって、人の心を動かし、望む状況を切り開いていけるとしたら、こんなに自由なことはない」(p24)という視点から書かれているところです。根底にあるのは、あくまで「自分の意志」と真剣に向き合ってメッセージをつくりだすこと。そして、そのメッセージで相手を生かし、自分を生かすこと。そこがとてもよかった。ブログを初めあらゆる媒体で文章を書いている人にとって役に立つ名著だと思います。