今年のまとめと来年への展望

思うところあって今年は3月半ばからレビュー書きを一切休み、ニュース記事もほとんど書かずに好きなことをやっていました。ネットを見ること自体が嫌になって、ほんの一握りのお気に入り以外一切見なくなりました。そうやって作り出した時間で、以前から読みたかった本をしこたま読み、欲しかった自転車も買って、思いっきり戸外で遊び回りました。年末には前々から使ってみたかったWordPressの勉強を始め、参考書を10日で3冊仕上げて、テーマの自作を始めました。

こうした過ごした1年のしめくくりに、岡田斗司夫さんのこんな言葉を読み、ものすごく共感しました。


岡田「情報で成功してる人は本を読んでますよ。ネットはおやつ、主食は本。ダメな奴ほど、それが逆転していくんです。おやつで栄養価が取れると思うんです よ。それでビタミン剤を欲しがるんです。本をうまくまとめたやつが欲しいとか。まとめサイトないのとか、それは栄養剤なんですよ。そういうのに慣れると咀 嚼力が下がっていって、結局同じ情報を見ても分からないんです。これがネット中毒になっている人の特徴で、全く同じ情報を得ていても、読みが恐ろしいほど 浅い」

――取捨選択が下手になっているんですか

岡田「筋力が落ちているんですよ。本という無駄な紙の塊の中から、自分がここだって思うことを抜き出すのって脳の筋力なんです。筋力が落ちてるのに、どん どん歯当たりの良いモノばかりを出されてきて、それを咀嚼すればいいと思ってるんですけど、筋力が落ちてるから栄養価として取り入れられないんです。カロ リーばかり高くて脳が肥満化してるんです。なので主食が本、ネットはおやつ。電車などでも簡単ですよ。行きは本、帰りはネットと使い分けるんです」

――FacebookTwitterも一緒ですか

岡田「役には立ちますけどおやつですね。というのも中味がないと、FacebookTwitterも人は見てくれないんです。中味がないというのはどう いうことかというと、これだけ情報がフラット化してきたら、ネットを見て、たまたま見つけたからこうだって呟いても何も意味がない。そうじゃなくて考えて 面白いことを言わないといけないんですけど、考えて面白いことを言うためにはベストは体験なんですよ。体験の次に役に立つのが、ようやく読書。でも、そん なに体験はできないでしょう。なので読書。自分がこんなことをやったが一番、こんな奴が友達にいるが二番、その次がこんな本を読んだ。人に通用するのはこ こまで。それからは、どんどん落ちて行って、こんなテレビを見た、ネットでこんな情報を見つけましたと、落ちて行けば行くほど、どこにでもいる奴になっ ちゃう。それは酒ですから」

レビュー書きを休止するまでの自分は、ここで言うところの咀嚼力が極端に落ちていたと思うんです。やりたいこともあれば、読みたい本もある。でもその前にまず今月発売の百合漫画のレビューを書かなくっちゃ。……そんなことばかりしているうちに、「自分がここだって思うことを抜き出す」筋力がダメになって、レビューそのものもどんどん書けなくなっていく。なかなか書けないから毎日何時間もPCの前で唸りっぱなしで、ますますネットしか見なくなり、つまらないことしか言えなくなっていく。その悪循環だったと思います。

今年レビュー書きを休んで乗り始めたスポーツ自転車にこんなにも大はまりしたのは、「まだ誰にも加工されていないナマの情報がダイレクトに五感で感じ取れる」というのが楽しくて仕方ないからです。風の匂いも陽射しの強烈さも、坂道を登る苦しさも、まだ言語化すらされていない圧倒的な経験として一気に全身に流れ込んできます。それを一片たりとも残さず味わいつくす贅沢さときたら。久しくネット漬けだった自分に欠けていたのはこれだったんだと実感しました。ただPCの前で唸ってたって、こんなにも新鮮で膨大な情報は絶対に体に入ってこないから。

自分が書くものを含めて、「誰かが言語化して、読みやすいようにとちょいちょいと整形してネットに置いたもの」なんてのは、やはり「おやつ」でしかありません。で、おやつってやっぱり栄養素が少ないんですよ。加工の段階で、絶望的なほどたくさんのものが抜け落ちるから。そして、おやつしか食べずに文章を書いていると、やはり栄養のない腑抜けのようなものしか書けなくなっていくと思います。それじゃ、ダメなんです。
自転車だってそうだもの。いちばん大切なのは、自分の脚でペダルを踏んで走ること。次が自転車友達と「こんな経験したよ」「すげー! 面白ーい!」なんて盛り上がること。その次が、自転車本を読むこと。ネットの情報なんてのはその最後にようやく来るものであって、たとえばネットに書かれたものを読むだけで自転車について書けるかって言ったら、そんなの絶対無理ですもん。

来年はもう少したくさんニュース記事を書き、レビュー書きも再開するつもりですが、この、「自分がこんなことをやったが一番、こんな奴が友達にいるが二番、その次がこんな本を読んだ。人に通用するのはここまで」という言葉を大切に胸に刻んでおこうと思います。ジャンクフードばかり食べて弱っていくのは、もう嫌だよ。