『良いトレーニング、無駄なトレーニング 科学が教える新常識』(アレックス・ハッチンンソン、草思社)感想

良いトレーニング、無駄なトレーニング 科学が教える新常識良いトレーニング、無駄なトレーニング 科学が教える新常識
アレックス・ハッチンソン 児島修

草思社 2012-02-11
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レーニング関係の本はずいぶん読んでるつもりですが、これはその中でも1、2を争うぐらいの良作。運動している/したい人なら誰でも疑問に思うようなことを、最新のスポーツ科学のデータをもとに、きわめてわかりやすく解き明かしてくれる本なんです。運動オタクのあたしでさえ知らなかった知識が山ほどあり、「買ってよかった」とホクホクしました。モチベーションアップにも役立つし、少ない時間で効率よく運動効果を上げるためにも重宝する1冊だと思います。

たとえばこういう疑問を感じたことがある人におすすめです。

  1. 有酸素運動と筋トレ、どちらを先にすればいいか?
  2. 裸足ラン(ベアフット・ランニング)って本当にいいの?
  3. 固い地面を走るとケガをしやすくなる?
  4. ランニングは膝に悪い?
  5. 体調が悪いときも運動した方がいいか?
  6. 筋肉を大きくせずに鍛えるにはどうすればいいか?

ふだんから熱心に運動してる人でも、これ全部正確に答えられる人は少ないんじゃないでしょうか。

ちなみに正解はこう。

  1. 自分にとって重要なほうを先におこなう。両方とも重要なら、毎日のセッションで順番を入れ替えながら組み合わせる。(pp. 33-34)
  2. 裸足ランニングがケガのリスクを低減させるという説は、いまのところ証明されていない。(p. 78)
  3. 固い地面で走るとケガをしやすくなると科学的に証明した例はほとんどない。(p. 135)
  4. 実は非ランナーに比べ、ランナーの方が関節炎発症率が少ないとわかっている。(p. 232)
  5. 鼻水や喉痛など、「首から上」の症状なら、風邪をひいていても運動による悪影響はない。
  6. 軽いウエイトで回数を多くすると筋肉が「引き締まる」というのは間違い。身体にさわってぷよぷよしているのは脂肪がついているからで、筋肉がたるんでいるわけではない。ぷよぷよ解消には「筋肉を大きくする」「脂肪を減らす」のふたつの方法がある。(p. 155)

ちなみに作者ハッチンソン氏は物理学博士で、元カナダ代表ランナー。どの項目でも科学者らしい公正な態度で複数の研究を紹介し、わかりやすくまとめてくれています。自分自身目からウロコだったことがたくさんあるので、備忘録もかねておいおい「トレーニング豆知識」のカテゴリで紹介していこうと思ってます。