オーストラリアの「レズビアンカップル」、養子男児に女の子の服を着せた写真をネットに上げ非難を呼ぶ


オーストラリアの「レズビアンカップル(※)」が6歳の養子男児に女の子の服を着せ、その写真をフェイスブックに載せたことで非難を浴びています。この男の子・キャンベル君(裁判所がつけた仮名)は現在くだんのカップルのもとから引き離されており、写真も下ろされているとのこと。女性同士のカップルたちの間では、こんなことがあるとレズビアンは親として有害だという印象が与えられてしまうとして憤激が沸き起こっているそうです。

(※シドニーの新聞によると、このカップルの片方は男性にトランスする準備を進めているところなんだそうです。だから厳密に言うとこの2人はレズビアンではなくヘテロカップルなんじゃないかとあたしは思うのですが、とりあえず元記事の表記を尊重してカッコつきで「レズビアンカップル」と訳しておきます)

詳細は以下。

シドニーのデイリー・テレグラフ紙によると、この一件が明らかになったのは、Childlren's Law Newsという書類にのせられた最高裁判決からだとのこと。キャンベル君の生みの母親が養育権を取り戻そうとして、最高裁で敗訴したのだそうです。キャンベル君は現在、このカップルのもとから離されて新しい里親の元で暮らしています。里親たちは、彼を養子に迎えたいと語っているとのこと。

キャンベル君は2006年、両親による肉体的・精神的虐待を理由として、4人の義理の兄弟および2人の義理の姉妹と一緒に福祉に保護されたのだそうです。このとき彼は生後18か月。その後彼は、2009年に、12歳の姉とともにこの「レズビアンカップル」の養子となりました。キャンベル君が女の子の服を着ている写真がネットに上げられたのは、姉がこのカップルとうまくいかずによそに移された後だったとのこと。

少年裁判所の元裁判官であるBarbara Holborow氏は、この一件に驚き、キャンベル君をこのカップルのもとに置くという判断について十分調査するよう要請したとデイリー・テレグラフに話しています。また、Pru Goward家族相は、少年と姉の養子縁組を取り決めたBarnardosという児童福祉サービスに対し、くわしい説明を求めているそうです。

あたしがこのニュースを読んでもっとも気になったのは、「キャンベル君の意志はどうなのか」ということです。6歳ならばそろそろ、どんな服が好きかという自己主張だってあるでしょう。本人が女の子の服を着たがって、喜んで着ていたのならば、そこに他人が横槍を入れる理由はないのでは。あるいは、本人も養親もまるっきり冗談のつもりで笑いながら撮ってアップした写真だとしたら、どうでしょう。これも、わざわざ元裁判官だの家族相だのが出てくるほどのことではないのではと、あたしは考えます。

もちろん、もしも本人が嫌がっているものを着せて写真を撮り、公開したのであれば、これは立派な虐待だと思いますけどね。元記事にはそのあたりの情報がまったくないので、これはちょっと判断が難しいかと。

ちなみに元記事ではこの写真のことを「屈辱的な写真」と断じているのですが、これについてはコメント欄のこの意見が的を射ているように思います。


ぼくが5歳のときに虫の衣装を着た写真については、誰に通報すればいいんだ? 今や一風変わった服で遊ぶことが「屈辱的」なのかい、それとも、両親が同性愛者なときだけ「屈辱的」なのかい? 女性同士でつきあう女性がどんなものかよく知らないけれど、性別を変える準備をしている方の人はおそらく違うだろう。彼はトランス男性であり、このふたりをレズビアンと呼ぶのは間違っている―彼は男性で、この人たちは異性愛者だ。そして、もし彼がトランスでなかったならば、この話に眉をひそめる人はいなかったろう。
To whom should I report the photos of me dressed as a bug at the age of 5? Apparently playing fancy dress is now 'humiliating', or is that only if your parents are gay? I'm not sure what a same-sex woman is, but the partner who was preparing for a sex change probably isn't one. He's a trans man, and calling them a lesbian couple is erroneous - he's male and they're straight, and if he hadn't been trans* this story wouldn't have raised an eyebrow.

いずれにせよ、この一件を根拠に「レズビアンカップルに」子供を養子縁組するのはよくないという結論を引き出すのは無茶だということは間違いないと思います。この件をきっかけに、子供を持つ、あるいは持ちたいと考えている同性カップルへの偏見が無意味に強まったりしなければいいのですが。

単語・語句など

単語・語句 意味
pseudonym 偽名、筆名、ペンネーム
insinuation ほのめかし、あてこすり
Children's Court 少年裁判所