フランス、レズビアンカップルが養子を迎える権利を認める

11年間におよぶ法廷闘争の末、フランスの裁判所が、レズビアンカップルが養子を迎える権利を認めたというニュース。

フランスの法はこれまで独身者が養子を迎える権利は認めていましたが、同性カップルに対しては認めておらず、ヨーロッパ人権裁判所から批判を受けていたとのこと。

訴えを起こしていたのは48歳の教師Emmanuelle Bさん。申し込み書類にカップルの片方だけの名前を書き、「独身」欄にチェックを入れることで法による禁止を回避する同性カップルもいる中、法廷で認められた権利を求めて戦ってきました。地域当局は彼女の養子縁組申し込みを拒絶し続けてきましたが、2009年11月9日(火)、Besanconの行政裁判所が地域当局の主張を退け、ついにEmmanuelle Bさんの権利が認められたとのことです。

ちなみにEmmanuelle Bさんがパートナーとともに養子を迎える権利を求めて裁判を起こしたのは、最初の申し込みが拒否された1998年のこと。ヨーロッパ人権裁判所では、2008年に既にEmmanuelleさんに有利な判決が下されています。その判決では、フランスが単身者には権利を認めておきながら、Emmanuelleさんに対しては家庭に「父親がいない」からという理由で権利を認めないのはダブルスタンダードだと指摘されていたそうです。
にもかかわらず、地域当局は今度はEmmanuelleさんとそのパートナーは養子の年齢についての考え方が食い違っているとして養子縁組を拒否。フランスの反差別諮問機関Haldeが、10月5日に出した報告書で、当局のこのスタンスを批判していたとのこと。

最初に「父親がいなければダメ」として拒否し、それが通らなくなると別の理由を持ち出して拒否というのは、英国のPrimary Care Trust(国営医療機構による『一次ケアトラスト』)がレズビアンへの人工授精を拒否するのに使ってきたロジックと非常によく似てますね(参考:Lesbians denied fertility treatment claims Stonewall - Health News, Health & Families - The Independent)。理由あっての禁止ではなく、まず禁止したいという意向があって、後付けの理由でそれを合理化していることがよくわかります。フランスの司法がこんな筋の通らない理屈を支持しなかったことに、惜しみない拍手を送りたいと思います。

単語・語句など

単語・語句 意味
legal battle 法廷闘争
get around (障害物などを)避けて通る
prevail 勝つ、打ち勝つ、克服する、まさる
administrative tribunal 行政裁判所(フランス、ドイツなどのヨーロッパ大陸法系の諸国に設置された行政事件を管轄する裁判所