ウガンダ最高裁、メディアによる同性愛者のアウティングを禁ずる

2011年1月3日、ウガンダ最高裁判所が、メディアがゲイやレズビアンアウティングする(同性愛者であることを当人の承諾なく暴露する)ことを禁ずる命令を下したそうです。ウガンダでは2010年10月、同性愛者とされる男女100人の住所と顔写真を大衆紙「ローリング・ストーン」が公開し、「縛り首にしろ」と煽るという事件がありました。Vincent Musoke-Kibuuke裁判官は、新聞によるアウティング行為で生命の危機が生じていると指摘。「ローリング・ストーン」紙に対し、同性愛者とされる人々の名前を載せることを永遠に禁止する命令を下したとのことです。

詳細は以下。

Guardianによると、「ローリング・ストーン」紙は2010年10月、「縛り首にしろ:やつらは我々の子どもを狙っている」という見出しのもとに、同性愛者とされている人々のリストを公表。ちなみにこの記事のサブタイトルは、「ウガンダのホモ・トップ100人の写真をリーク」です。「Sexual Minorities Uganda」のFrank Mugishaさんは、BBCに対し、このリストに載せられた人のほとんどがいやがらせや暴力に遭っていると語っています。Mugishaさんによると、隣人からの投石であやうく殺されかけた女性もいるそうです。

2011年1月3日、Musoke-Kibuuke裁判官は、「ローリング・ストーン」紙に対し、同性愛者の写真や住所を公表することを禁じる恒久的命令を下しました。判決文には、こうあるそうです。


「同性愛者もまた権利を与えられているのである。この裁判では、ある人々の憲法上の権利の侵害が認められた。これにより、裁判所は『ローリング・ストーン』新聞が今後同性愛者の身元を公表することを差し止める命令を発効する」
"Gays are also entitled to their rights. This court has found that there was infringment of some people’s confidential rights. The court hereby issues an injuction restraining Rolling Stone newspaper from future publishing of identifcations of homosexuals."

ウガンダでは2009年、「同性愛者を最高で死刑に、同性愛を通報しなかった者は最高で懲役7年の刑にする」という通称「ゲイを殺せ」法案が提出されました。その後英・仏・米・スウェーデン・EU・欧州議会などからの糾弾もあったものの、2010年10月には、デービッド・バハティ議員が、この法案は間もなく成立するだろうとの見通しを明らかにしています。そんなわけで立法の面では極端にホモフォビックなこの国で、司法が同性愛者の憲法上の権利を認めたというのは大きな朗報だと思います。引き続き注意して続報を見守っていく所存です。

単語・語句など

単語・語句 意味
infringment 権利侵害