ゲイ作家、デビュー作をAmazon Kindleで無料提供

10代ゲイ少年の相次ぐ自殺のニュースを受けて、ゲイの小説家Rakesh Satyalさんが、デビュー作"Blue Boy"をAmazon Kindleで無料提供しています。無料ダウンロードの開始は2010年10月6日から。この小説はインド系アメリカ人のゲイ少年の成長ストーリーで、主人公がクラスメイトのいじめに合いながらもそれを切り抜けていく姿が描かれているとのこと。

詳細は以下。

Amazon.comの紹介文を見る限り、この小説のタイトルは青黒い肌をしたインドの神様・クリシュナからきているようです。お話の舞台は、1990年代早期の米国シンシナティ。12歳の主人公Kiran Sharmaは人形やバレエや化粧が好きな男の子で、学校の同級生とも、同じ宗教を持つ子供たちともなじめずにいます。あることがきっかけで自分は女の子より男の子の方が好きだと気づくものの、誰にも打ち明けられません。周囲と合わないのは自分がクリシュナ神の生まれ変わりだからと考えたKiranは、学校のタレント・ショウ(日本で言うところの学芸会みたいなものだと思って下さい)でカミングアウトしようと決意。衣装を用意し、ホイットニー・ヒューストンの曲に合わせたダンスも練習しているうちに、不思議なことに彼の肌が青黒くなり始め……といったストーリーで、カスタマーズレビューによると「感動的で、悲しく、ユーモラスな」物語だとのこと。面白そう。ゲイネスだけでなく、エスニシティという要素も用いて「人と違っていること、そのために孤立すること」というテーマが追求されているところが興味深いです。

Rakesh Satyalさんは10月6日、この本は子供が持っている立ち直りの力を示すものだと語り、最近の10代ゲイたちの自殺に関して以下のように述べています。


「このような事件の悲しさやショックは、何度聞いても慣れることがなく、生々しいです」と彼は言った。「危険なのは、人間はひとりひとりが光り輝くユニークな存在なのに、それをまるで1本の糸でもあるかのようにひとくくりにとらえてしまうことだと思います」

“The sadness of it and the devastation of it is new and fresh every single time,” he said. “I think the danger in this is putting people in the collective, as seeing them all as a string of something, as opposed to each person being a shining, unique individual.”

ちなみに"Blue Boy"は日本のAmazonだとパーパーバックで新品845円(プラス送料250円)から。買ってみようかしら、これ。

付記

「ゲイ」「いじめ」「自殺」などのキーワードでこのエントリに飛んできた人のため、日本国内での相談窓口のリストへのリンクを張っておきます。

上記のWebページには、各種団体が行っている、

  • 同性愛者のための総合「ヘルプラインサービス 」
  • トラブル/ゲイバッシング相談
  • こころの相談
  • からだの相談
  • かぞくの相談
  • HIV/AIDS相談
  • 同性愛者のための恋愛、人間関係、からだ、エイズ、その他 電話相談
  • LGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーインターセックス)の当事者やその家族、友人にむけての電話相談
  • セクシュアル・マイノリティ悩み相談ホットライン

などの電話番号のリストがあります。今、困った状態にある方は、まず電話を。

単語・語句など

単語・語句 意味
resilience はね返り、弾力、弾性、(元気の)回復力、立ち直る力、快活さ
persistent しつこい、持続する、ひっきりなしに起こる、繰り返される
permeate 浸透する、普及する、行き渡る
devastation 荒廃、破壊
as opposed to O …とは対照的に、…に対立するものとして(の)