「パートナーと死別した同性愛者を既婚ヘテロカップルと同等に扱わないのは差別」欧州人権裁判所が判決
2010年3月2日、欧州人権裁判所が、ポーランドがパートナーと死別したゲイ男性を既婚の異性愛者カップルと同等に扱わなかったのは差別であるという判決を出したというニュース。
この男性Piotr KozakさんはパートナーのTBさんと1989年から同居しており、1998年にTBさんが死去。住居の賃貸契約がTBさん名義になっていたため、Kozakさんは自分の名義で契約を引き継げるよう届け出を出したとのこと。
ポーランドでは同居カップルの権利が認められているはずですが、当局はこの権利はゲイカップルには当てはまらないとしてKozakさんの届け出を拒否。法廷も、「ポーランドの憲法は結婚を『男性と女性との結合』と規定している」「法的に認められる同居生活は、男性と女性の一対一の同居関係だけ」と述べ、届け出拒否を正当化したとのこと。
しかしながら、欧州人権裁判所は満場一致でこれを退け、ゲイカップルの同居関係を認めないのは欧州人権条約第14条(差別の禁止)と第8条(私生活および家族生活が尊重される権利)の侵害であるという判決が言い渡されたとのことです。
ここまでだったら「いいニュースだな」で済んだんですが、この後のこの部分がちょっとひっかかりました。
欧州人権裁判所はポーランドの憲法を認める一方で、同国は家族の保護とLGBTの人権を守る立法措置との間のバランスをとる必要があると述べた。
While it accepted Poland’s constitution, the court said the country needed to strike a balance between protecting the family and human rights legislation on LGBT people.
ええと、「家族の保護」っていうけど、なんでLGBTの権利擁護が「家族の保護」と対立するものとして語られてるんですか。LGBTには家族は作れないとか、LGBTの家族は保護しなくてもいいとでも言うんですかいこの裁判所。この裁判だって、とどのつまりは「同居のヘテロカップルが『家族』として守られるなら、同居のゲイカップルも『家族』として保護しろ」っていう趣旨のものだと思ったんだけど、違ったの? Kozakさんが賃貸契約を引き継ぐ権利が認められたこと自体は喜ばしいのですが、そんなわけで、何か釈然としないニュースでした。
単語・語句など
単語・語句 | 意味 |
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strike a balance | 軽重をよく考える、〜と〜を比較検討する、バランスをとる、妥協点を見いだす、調和させる |