ケニアが2010年の国勢調査で同性愛者の数を調査

アメリカが国勢調査で同性婚カップルを正式にカウントすることになったと思ったら、今度はケニアが2010年の国勢調査で同性愛者の人口調査に乗り出すというニュースが入ってきました。同性愛が違法とされるケニアでなぜ、と思ったら、HIV/AIDS対策のためなんだそうです。

ケニアエイズ予防プログラム「Nascop」のNicholas Muraguri代表がBBCに語ったところによると、ケニアの同性愛者はHIV/AIDSの情報不足に苦しんでおり、政府からゲイ・コミュニティへのアプローチが必要とされているとのこと。
ただし、同性愛行為が最高で14年の懲役刑となる同国では、同性愛者が名乗り出るのは困難なこと。Muraguri代表自ら、正確な数の把握は難しいと認めています。それでも同性愛者の数を今より明確に把握することで、コンドームの供給などの予防策がとりやすくなり、大きな前進になるだろうというのが氏の考えです。以下、Muraguri代表の言葉。


ケニア人は、ゲイ・コミュニティがどこかの隅っこで孤立していると言うことはできない――彼らは我々の社会の一部をなしているのだ」と彼は語った。
「感染からどのように身を守ればよいかを知ることができるよう、この集団に手を差し伸べ、情報とサービスを供給せねばならない」
"Kenyans cannot actually afford to say that the gay community are isolated somewhere in the corner - they are part of our lives," he said.
"This group must be reached with information and services so they know how to protect themselves from getting infected."

ゲイ・アクティヴィストのPeter Njane氏はこの調査がHIVとの戦いに有益だとして、BBCの取材に対し


「ゲイ・コミュニティのほとんどが、男性とのセックスは安全だと考えています。ここには安全基準についての情報が何もないのです」
"Most of the gay community think that having sex with men is safe. There's no information here about safety measures,"
と述べているそうです。一方、同性愛者の数を調べてもエイズの蔓延は食い止められないと考える人もおり、国内での評価は二分されている模様。

こうした調査が行われるのはいいことだとあたしは思いますが、HIV/AIDSで国家のケツに火がつかなきゃ無視されたままなんだよなあと考えると複雑な心境になります。そう言えば、米国でドメスティック・パートナー制度が一挙に進んだのは、80年代のエイズ禍でゲイたちがバタバタと死に、遺産相続のトラブルが多く発生したからと聞いたことがありますが、これも似たようなものなのかも。何にせよ、国勢調査が良い方向に働いて、同国のゲイ・コミュニティでのHIV/AIDS予防が進んでくれるといいと思います。

単語・語句など

単語・語句 意味
concede …を(正しいと)(しぶしぶ)認める
unlikely ありそうもない、疑わしい、成功はおぼつかない、うまくいきそうもない