ウガンダ、反同性愛法案から死刑と終身刑を削除か

ウガンダの反同性愛法「悪質な同性愛者は死刑、同性愛者を通報しない家族と友人は最高で懲役7年の刑」 - みやきち日記の続報です。ウガンダが、世界中から反対されているこの法案から、同性愛者への死刑と終身刑の項目を取り除く動きがあるそうです。

伝えられるところでは、同国の「行動倫理規範省」(ministry of ethics and integrity)大臣のNsaba Buturo氏は、処刑の代わりにもっと「洗練された」刑罰が望ましいと述べているとのこと。Buturo大臣は「ゲイを治療する」セラピーについて触れ、新しい法案は同性愛者へのカウンセリングを促進すると語ったそうです。
なお、修正された法案は2週間以内に議会に提出されるだろうとのこと。

カウンセリングというと耳触りがよさそうですが、このへんこのへんでも触れた通り、現在の科学ではゲイを「治療」するという触れ込みのセラピーの効果は立証されておらず、むしろそうした「治療」には害があると指摘されています。死刑をやめたはいいが、結局嫌悪療法と称して同性愛者に電気ショックをかけまくって終わり、なんてことにならなければいいんですが。

あともうひとつ。この法案について、TIMEのこの記事に重要な指摘が。

こちらの記事によると、ウガンダの反同性愛法案には、アメリカで"ex-gay""(祈りと信仰でゲイを『治療』するという触れ込みのムーブメント)を推し進めているキリスト教原理主義者の影響が大きいとのこと。とくに、ナチズムと同性愛を結びつけた本を執筆したScott Lively牧師の影響が強いそうです。Lively牧師の「同性愛者が世界を支配しようとしている」という説が、ウガンダ社会のアンチ植民地的感情にジャストフィットしたということみたい。

さらに、この法案の熱心な支持者のひとりであるカリスマ牧師Martin Ssempa氏が率いるところのエイズ撲滅団体は米国から出資をうけており、また同牧師はカリフォルニア州のサドルバック教会とつながりがあるのだとか。サドルバック教会を運営しているのは、オバマ大統領の就任式で開会の祈祷を務めたリック・ウォレン牧師。ウォレン牧師は今回の反同性愛法には反対だとのことですが、この牧師がもともとホモフォビアで有名*1で、大統領就任式のときにはLGBTコミュニティから「なぜオバマはこんな人を呼ぶのか」という非難の声があったぐらいだということを忘れてはなりません。

そんなわけで、たとえ法案から死刑と終身刑が削除されるにしても、まだまだウガンダの同性愛者たちの前途は多難そうです。アメリカ(の宗教家たち)は、自国の同性愛者をいじめるだけならまだしも、他国にまでホモフォビア出先機関を作るのはやめてほしいわマジで。それこそ植民地政策と変わらないじゃないか。

単語・語句など

単語・語句 意味
integrity 正直、誠実、高潔、清廉潔白
episcopal 監督派の
eradication 根絶、撲滅