「見下し型アイデンティティ」と逆ギレ
「見下し型アイデンティティ」と逆ギレ
同性愛者からホモフォビアを指摘されると「黙れ、変態のくせに!!」などとものすごい勢いで逆ギレする異性愛者*1、というのがいます。ヘテロなんて権力握りまくりなんたから、そんなに必死になって怒鳴らなくてもいいだろうに、と思うんだけど、そういう人ってなんかもう可哀想なほど一生懸命になってセクマイを見下そう見下そうとするんですよね。思うにそういう逆ギレヘテロさんたちって、見下していた相手(セクマイ)に論理的に言い負かされることで、「これまで見下してきたアイツらより俺の/私の方が下になってしまう!」「ランクが『下』になったら、自分がこれまでしてきたような一方的な蔑視を、今度は自分が受けることになってしまう!」という恐慌状態に陥っているんじゃないでしょうか。
つまり、そういう人は、ふだんから社会構造が
階層 | 構成員 |
---|---|
上流市民 | 異性愛者(含む自分) |
下層市民 | 同性愛者などのヘンタイ一同 |
……だと思って一方的に同性愛者を見下しているからこそ、その見下していた相手にやりこめられた瞬間、自動的に
階層 | 構成員 |
---|---|
上流市民 | 異性愛者 |
下層市民 | 同性愛者などのヘンタイ一同 |
最下層市民 | ヘンタイごときにやりこめられる自分 ←今ここ |
という図式に陥ってしまい*2、「このままでは俺が/私が最下層!」とパニックしてしまうのではないでしょうか*3。簡単に言うと、「『見下し型アイデンティティ』(誰かを見下すことで保たれているアイデンティティ)はとてももろく、簡単にパニックや逆ギレにつながる」ということなんだと思います。
同性愛者の「見下し型アイデンティティ」
よく考えたら、同性愛者だってそういう人はいっぱいいますよね。例えば、「バイセクシュアルは淫乱で二股好き*4」「Aセクは本当の恋愛を知らないだけ*5」などと他のセクマイを侮蔑することでようやくプライドを保ってる同性愛者なんてのは、どんなに「それ、偏見」と指摘されても逆ギレするだけです。自分より「下」(と自分が考えた)のグループを見下し続けないと、自分の立ち位置が崩壊するからです。
セクシュアリティ以外での「見下し型アイデンティティ」
セクシュアリティの話に限らず、
- 子どもを一方的に支配しようとする親が、子どもから筋の通った反論をされて「ガキのくせに!」と逆ギレする
- 女性を馬鹿にしている男性が、女性に理路整然とやりこめられて「女のくせに!」と怒り狂う
というのも同じ「見下し型アイデンティティの危機」の問題だと思います。さらに、以下の会話の「A子さん」の例も、まったく同じですね。
A子「あ、B子、久しぶり〜。私さあ、最近彼氏できちゃってラブラブなのぉー。ところでB子はまだ処女? アンタみたいなオタク女は私と違ってもてないんだから、もっと努力しないとダメよねーあはははは」
B子「私、去年結婚して今妊娠中なんだけど」
A子(目を吊り上げ)「オタク女のくせになんで私より先に結婚してるのよ! どうせ体で釣って結婚させたんでしょうこの淫乱! 旦那紹介しなさいよ本当にいい女は私だってわからせてやるからお前なんか離婚で私が私が私の方がキイイイイイイイ!!!」
多少脚色してあるけど本当にいるんですよ、こういう「A子さん」みたいな人。オタクを見下すことで「オタクより上にいる自分」という自己イメージをかろうじて保っている人は、なんらかの局面で相手が自分より「上」だと感じた瞬間パニックに陥るんです。迷惑ですよねー。
まとめ
一方的に誰かを見下すことで保たれているアイデンティティはとてももろく、簡単に逆ギレにつながるため、自分や周囲を無意味に疲れさせるだけだと思います。自分の立ち位置は、「誰かより上か下か」ではなく、「『自分は』何が好きなのか」「『自分は』何ができるのか」などで決めたほうが健全つーか、よりストレスの少ない人生を送れそうよね、というのが今回の結論です。