米連邦最高裁、結婚防衛法を違憲と判断

2013年6月26日、米連邦最高裁が、結婚は男女間のみのものとする連邦法「結婚防衛法(DOMA)」を違憲とする判断を下しました。また最高裁は、同性婚を禁じるカリフォルニア州法「提案8号(Prop 8)」を違憲とした高裁の判断も支持したそうです。

詳細は以下。


これって、こちらで紹介したイーディス(イーディ)・ウィンザーさんが原告となって起こした訴訟ですよ。女性パートナーの遺産相続で、男女間の夫婦なら払う必要のない税金を約3400万円も課されたことを不当として訴えたあの84歳のおばあちゃんです。連邦最高裁は、結婚防衛法が自由・財産を保障した憲法修正第5条に違反するとの判断を示し、この判断は判事9人のうち5人によって支持されました。これにより、税金の控除や年金の支給などが同性カップルにも認められることになるそうです。

以下、イーディ・ウィンザー原告の談話。「わたしたちが要求し、望んだものはすべて勝ち取りました(“We won everything we asked and hoped for.")」という冒頭のことばに感慨もひとしお。

この判決が出たのは、日本時間の昨夜です。ネットメディアやTwitterはもうお祭り騒ぎ。これからいろんなことが大きく変わっていくんだろうけど、あたしとしてはベット・ミドラーが3ヶ月前に、つまりこの審理が始まった日にツイートしたこれが現実になりそうで嬉しいわ。


同性婚でわたしにどんなサプライズの利益があるかって? 何千組もの結婚式で"Wind Beneath My Wings"をやるようになるわよ!
Surprise benefit of gay marriage to me?? Thousands of weddings where they play "Wind Beneath My Wings"!

米コロラド州人権当局、6歳トランス少女の女子トイレ使用を認める

コロラド州の小学校、6歳MtF少女の女子トイレ使用を拒否 - みやきち日記の続報。米コロラド州の人権当局が、6歳のトランスジェンダー女児コイ・マシス(マチス)ちゃんが学校で女子トイレを使用することを認める判断を下しました。

詳細は以下。

これまでの流れを箇条書きで要約すると、こんな感じになります。

ハフィントンポストによると、コイちゃんの両親は、娘が女子トイレの使用を禁止されたことでいじめに遭うのではないかと恐れていたそうです。元通りに学校に行けるようになって、本当によかった。

結婚防衛法への違憲判決の日、米連邦最高裁の周囲で見られた秀逸プラカード集

BuzzFeedの、「結婚防衛法が打ち倒された日、最高裁の外で見られたプラカードのベスト41」(The 41 Best Signs Outside The Supreme Court On The Day DOMA Was Struck Down)って特集がとても面白いです。記事を書いたMatt Stoperaさんは結論として「看板を作らせたらゲイは最高」と言ってますが、そのとおりだと思うわ。以下、いくつか抜き出して訳してみます。


(訳注:白いドアにペンキで書かれたメッセージ)かつてこれがわたしを苦しめていました。結婚防衛法を廃止しよう、今こそ。もうドアを閉ざさないで。
This USED TO OPPRESS ME. REPEAL DOMA; NOW. NO MORE SHUT DOORS.
写真から判断して、このドアはおそらくハリボテ等ではなく、本物の室内用木調ドアのはず。おそらくはクロゼット折戸か、トイレドアでしょう。それを最高裁判所前までかついで来ちゃう腕力と行動力がステキ。

(訳注:手をつなぐ女性同士のイラストをあしらったプラカードで)わたしだってディズニーでフェアリーテール・ウエディングしたい
I want my fairytale wedding
フェアリーテール・ウエディングというのはこちらですね。日本でも東京ディズニーシーで結婚したレズビアンカップルがいましたよね、そういえば。


もし同性婚のせいであなたの結婚がだめになるのなら、それはあなたの方により深刻な問題があるってこと
IF GAY MARRIAGE RUINS YOUR MARRIAGE YOU HAVE MORE SERIOUS PROBLEMS
これは真実を突いていると思います。同性婚反対派を皮肉る「究極のアンチ同性婚CM」を思い出して、ひとりにやにやしてしまいました。

ぼくが彼氏と結婚できないのなら、あなたの娘と結婚しちゃうわよ!
IF I CAN'T MARRY MY BOYFRIEND THEN I'LL MARRY YOUR DAUGHTER!
ナイスな脅し。しかし、「同性婚を認めると少子化が進む」みたいな寝言を言ってる人って、まさかこういうことを本気で望んでるんじゃないでしょうね?


おれにだって離婚する資格がある
I DESERVE TO DIVORCE TOO

こちらで紹介した、「同性婚を支持します。ゲイだってわたしたちと同じぐらいみじめになる権利があるはず」というのと同系列の、ひねりが効いたプラカードですね。

上記の他にもおもしろいプラカードがいっぱいあったので、できればぜひ元記事もごらんください。翻訳不能なものとしては、バットガールとスーパーガールのイラストの微エロなプラカード(No. 30)なんてのも良かったです。なぜそこに手を突っ込んでるんだバットガール

さて、個人的にもっとも胸を打ったのは、沈痛なおももちの男性が頭上にかかげていたこちらのメッセージでした。


生涯の恋人で花婿のトムと結婚する日を夢見ていた。でも悲しいことに、トムはそれが法律上可能になる前に事故で亡くなってしまった。(結婚防衛法の廃止は)ぼくらにとっては遅すぎたが、アメリカが自由の象徴に恥じない行動をとり、結婚の平等を「誓います」と言うのに遅すぎるということはない。
だれもがみな平等でないかぎり、自由などない。
I Dreamed of one day marrying the LOVE of my LIFE, TOM BRIDEGROOM, but he tragically died in an accident before it was legally possible. It's too late for us, but it's not too late for America to live up to its symbol of freedom and say "I Do" to Marriage Equality.

THERE IS NO FREEDOM UNTIL WE ARE ALL EQUAL

シンディ・ローパーが2013年(第67回)トニー賞オリジナル楽曲賞を受賞(追記あり)

シンディ・ローパーが、ミュージカル『キンキー・ブーツ』で、2013年(第67回)トニー賞オリジナル楽曲賞を受賞しました。
受賞スピーチは以下。

前にも書いたけど、女性がこの賞に輝くのは史上初です。おめでとう、シンディ!

追記

TIME.comによると、『キンキー・ブーツ』は他にミュージカル作品賞、ミュージカル主演男優賞、ミュージカル音響デザイン賞、振付賞、編曲賞なども受賞したそうです。ますますおめでとう!

そういえば1週間ほど前、この作品のトニー賞ノミネートを祝して、ウーピー・ゴールドバーグやロージー・オドネルなどたくさんのスターがシンディの「Girls Just Wanna Have Fun」を歌った動画っていうのが発表されてたんですよ。歌った皆さんもさぞ鼻が高いと思うわ。動画見ながら勝手に一緒に歌ってたあたしも嬉しいわ。


中国初のLGBTプライド・パレードの動画がリリースされる

中国初の、オンラインのLGBT TVチャンネル「同志亦凡人(Queer Comrades)」が、同国初と言われるLGBTプライド・パレードの動画をリリースしています。

これは湖南省長沙市で2013年5月17日に、すなわち第9回国際反ホモフォビア・トランスフォビア(IDAHO)の日に実施された「長沙プライド」(Changsha Pride)の映像だとのこと。中国では2009年以来、上海で毎年プライド・フェスティバルがおこなわれていますが、そちらはイベントだけでパレードはないのだそうです。中国国内でLGBTパレードを敢行したのは、この長沙プライドが初だと言われています。

長沙プライドには北京、香港、広東、重慶、湖北、浙江などからLGBTとその支援者が100人以上集まり、差別との戦いを呼びかけたそうです。残念ながら中国国内ではデモンストレーションへの取り締まりが厳しく、このイベントも無許可だったため、パレードのオーガナイザーで19歳のXiang Xiaohanさんは逮捕されてしまいました。しかしながら、この動画のナレーターは以下のように話しています。


「わたしたちは、このイベントを失敗と呼ぶのは間違いだと考えている。一方、次回もっとうまくやるにはどうするかを考える必要はある。また、Xiaohanとその仲間の勇気をたたえ、イベントの大成功について彼らにお祝いを言わなければならない」
'We think that's a mistake to call the event a failure. While we need to think how to do better next time. We also have to celebrate the courage of Xiaohan and his team and congratulate them on a very successful event.'

ちなみにXiang Xiaohanさんは12日間拘禁されたそうですが、次は15日拘禁されるだろうと話しつつも、「またイベントを開いてそうなるのなら、わたしはかまいません」と言っているそうです。

こういうプライド・パレードの話になると「こんなことをしても世の中は変わらない」とか、「マジョリティに気持ち悪がられるだけだから逆効果」とかいう批判が、特に日本人の間ではよく出てきます。昔はそれにも一理あるかなと思わんでもなかったのですが、最近ちょっと考え方が変わってきました。プライド・パレードって、マジョリティをどうにかすることを第一義としてやるものじゃなくね? あれは、LGBT(と、その仲間や味方)の存在と、これまで歩んできた旅路を祝うためにやるもんじゃね?
LGBTだと名乗って堂々と道を歩くこと。人前で恋人と手をつなぐこと。声を出して抗議すること。そういうことができるようになるまで、どれだけの道のりと戦いがあったかは、あたしたちだけが知っています。その「道のり」って、「1969年にストーンウォールで暴動があって」みたいな、外から見た歴史の話だけじゃありませんよ。『It Gets Better: Coming Out, Overcoming Bullying, and Creating a Life Worth Living』(Dan Savage & Terry Millor [編]、Dutton)感想 - みやきち日記で紹介したような、マイノリティひとりひとりの内面の戦いや決死のサバイバルの話でもあるんですよ。その長い長い道のりとマイノリティたちの存在自体を祝うというのが、プライド・パレードの第一義なんじゃね? 

LGBTに無関心な、あるいは否定的なマジョリティは、ここでは祝われてないんですよ。そこにお客様気取りでやってきて「もっと俺たち/わたしたちの気に入るようにしろ」と言われても、苦笑するよりほかありません。同様に、奴隷頭みたいなメンタリティのマイノリティから「これではシスヘテロご主人様がご気分を害する」と叱られても、やっぱり苦笑しか出てきません。「マジョリティやそのお取り巻きを進んでもてなしてくれる場所は世界中にたくさんあるんですから、そちらに行かれてはどうですか」と謹んでご提案申し上げるのみです。

オーガナイザーが12日も拘禁されたことには心痛みますが、そんなわけで今回のこの「長沙プライド」にもとても大きな意義があったとあたしは思います。当日その場には行けなくても、この動画を見て勇気づけられた人は絶対にいると思うわ。リスクを冒して集まった皆さまの勇気に、心からの敬意と拍手を。

男子大学生2名、大学内のホモフォビック説教師をある方法で黙らせる

カリフォルニア州立工科大学サンルイス・オビスポ校(Cal Poly San Luis Obispo)の構内でホモフォビックな意見をがなり立てていた説教師を、2人の男子学生がとある方法で一瞬にして黙らせたそうです。いやあ、これはお見事。

詳細は以下。

以下、YouTubeの説明欄より引用。


今日ユニバーシティ・ユニオン(訳注:大学内の、学生が集まったりイベントを開いたりする場所)で3時間わめきたてているクレイジーな女説教師がいました。その人は、おまえたちは全員こんな風に地獄に落とされるのだとか、おまえたちは罪人だが神の言葉を広めている自分は聖人だとかいうことについて語っていました(ほら、よくあるあれね)。彼女が伝統的な結婚や、なぜ同性愛者が邪悪なのかということについてがなり立て始めたとき、この動画の出来事が起こりました。1週間で最高の出来事でした。
So there was this crazy preacher lady yelling in the UU for 3 hours today, talking about how we're all damned to hell and how we're sinners but she's a saint because she's spreading the word of God (you know, the usual). She was just beginning a rant on traditional marriage and why gay people are evil when this happened. Highlight of my week.

動画が見られない環境の方のために解説しておくと、壇上で「聖書が」とか「イエスが」とか叫んでいる説教師の横に男子学生ふたりが駆け上がり、その場で抱き合って熱烈なキスを交わすんです。説教師の女性は沈黙してしまい、周囲の学生からは声援と拍手がわき起こってます。この男子学生たちが実際に同性愛者かどうかは不明ですが、とっさにこれを思いつく機転と、やってしまう行動力がすばらしすぎると思います。「もしも自分がそこにいたら、同じことができただろうか」としばし脳内シミュレーションしちゃったわ。

「おなかの赤ちゃんはレズビアンです」→さあどうする? オーストラリアの同性婚推進派が動画でキャンペーン

オーストラリアのゲイの権利団体が同性婚の実現を呼びかけるために製作した動画が話題を呼んでいます。異性同士のカップル(女性は妊娠中)に向かって、お医者さんが「おなかの赤ちゃんはレズビアンです」と告げるという内容なんです。

詳細は以下。

この動画に(直接的に)登場するのは、妊婦さんとその男性パートナー、そして産婦人科医。超音波検査で元気に動く赤ちゃんの姿を見て、この男女カップルは見るからにうれしそうにしています。そこでお医者さんがこう尋ねます。


「さて、おなかの赤ちゃんがどちらだか知りたいですか?」
“Now, would you like to know what you are having?”

これはおなかの子の性別を知りたいかどうか尋ねるときの一般的な言い回しです。カップルは手を握り合い、わくわくした顔でうなずきます。お医者さんは微笑み、こう伝えます。


「おなかの赤ちゃんはレズビアンです」
“You're having a lesbian.”

こう告げられて、この異性カップルはどんな顔をし、どう反応するか。そこが大きなポイントだと思います。

動画の最後に出てくるメッセージは、こう。


どの子が同性愛者に生まれついてもおかしくありません。
だから、結婚の平等は、すべての家族の問題なのです。
Any child can be born gay.
So marriage equality is every family's issue.

ほら、同性婚というと「ゲイでもレズでも俺を巻き込まなければどうでもいい、勝手にしろ」みたいなことを言う人ってよくいるでしょ。でも、「巻き込まなければ」も何も、あなたの子どもが同性愛者だったらどうすんのよっていう話なんです、これは。同性愛者のほとんどは異性愛者のカップルから生まれてくるんですから、自分が異性愛者だからって傍観者ポジションを決め込むのはおかしいという問題提起なわけですね。

以下、YouTubeのこの動画の説明文から引用するよ。


おなかの子どもはどっち? カップルというものは、自分たちの持つすべての機会を子どもたちに与えられるようにと世界を整えることに慣れています。では、もし今度あなたの家族に産まれてくる子どもがレズビアンやゲイだったらどうなるのでしょう。その子が逸してしまう機会は何でしょう?
What R U Having? Couples are used to preparing their world so their children have all the opportunities they had. So, what if the next child born into your family was lesbian or gay. What would that child be missing out on?

だいたい、自分の子どもが同性愛者じゃなくたって、映画『人生はビギナーズ』みたいに、実は自分の年老いた親がゲイだったってこともあるんですからね。完全なる傍観者ポジションなんて、誰にも取れたものではないとあたしは思ってます。